現状を把握し評価する際に必要な「比較」とは
──では、次の「現状把握・評価」とはどのようなプロセスでしょうか?
柏木:現状把握は、先ほどの図の「現状を把握する」(D)と「評価する」(E)で構成されます。Dとは、あくまで実績や事実、結果を確認することで、Eとはその結果に関して評価することです。ビジネスの現場で価値のある情報とはどちらでしょうか?
──うーん。やっぱり、Eでしょうか。
柏木:はい、そうなんです。Dも重要ですが、やはりEのほうが重要になります。なぜなら、結果を評価した情報のほうが、具体的なアクションを特定でき、判断を下す材料になるからです。Dのみではそうはなりませんよね。
──評価の具体的な方法が気になります。
柏木:評価のために必要なことは、ずばり「比較」です。Dで示したデータを評価するためには、何かと比較する必要があります。では、何と比較すべきが気になりますよね。ポイントは主に二つあります。一つ目は、「結論につながる結果が得られるかどうか」です。もう一つが、「比較することで『差』が見いだせるかどうか」です。
──もう少しこの「比較」に関して、深くお聞きしたほうが良さそうです。
柏木:では、さきほども事例とした「働き方改革」関連の話題の中で、残業時間や総労働時間を挙げてみましょう。部署ごと、部門ごとの労働時間、残業時間を比較するという作業がよく行われます。
柏木:ここで重要になるのは、繰り返しになりますが「何を問題と考えるか、どのように評価することが問題にとって重要か」という視点です。上の表では、各部署の「平均」残業時間を比較していますね。あくまで各部の平均値の大小で評価、判断することになります。本当にそれで目的に近づくことができるのでしょうか?
──では、この場合、どのように残業時間を比較すべきでしょうか?
柏木:まずは、比較する前に「残業時間を減らす」という目的をより具体化させる必要がありますね。例えば、今回は、「同一部署における残業時間の、人によるばらつきを平準化したい(その結果、不公平感や一部への負荷の偏りを減らしたい)」を目的として設定しみましょう。これは「比較」の意味を理解するための例示です。
すると、さきほどは部署別の平均残業時間を比較しましたが、今回は「部署内個人間のばらつき」を比較することが、評価のために必要になるでしょう。
柏木:ここではこれ以上、詳細は説明しませんが、何を目的に現状把握をし、どの指標で評価のための比較をするのか。擬似的に体験いただけたのではないでしょうか。