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サイボウズ青野氏とアイディール・リーダーズ永井氏が答える、次世代組織の企業理念と社員の幸福とは?

次世代組織を考える NEXT VISION Vol.1

 企業の成長を考える上で、社員のやりがいや幸福度が注目されている。一方で、企業の成長と社員の幸せは同じベクトルを向いているのか、という疑問の声も聞かれる。企業の成長と社員の成功を両立するにはどうしたらいいのだろうか。
 そんな疑問に答えるべく、アイディール・リーダーズ株式会社では「次世代組織を考える」をテーマに据えた対談イベントNEXT VISIONを主催。第1回は代表取締役の永井恒男氏が、ゲストのサイボウズ株式会社代表取締役社長 青野慶久氏とともに、会場からの質問に答えながら、企業理念と働き方、社員の幸福について議論した。イベントの様子を紹介する。

[公開日]

[講演者] 青野 慶久 永井 恒男 [取材・構成] フェリックス清香 [写] 黑田 菜月 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

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なぜ「企業理念」は変わり続けることが自然なのか

 イベントのテーマが「企業のビジョンと働き方」ということもあり、会場からはまず、こんな質問が寄せられた。

「2030年の自社のミッションを考えるプロジェクトを担当しています。既存事業が縮小していくことは明らかなのですが、10年後のミッションをどうやって作ったら社員が共鳴し、わくわくしながら働けるかに悩んでいます。着想の起点にすべきなのは、企業理念や今まで培ってきたDNAでしょうか。それとも『こんなミッションだったら楽しいな』というものを考えて、それをDNAに近づけるようにしていくほうがいいのでしょうか」

 サイボウズの青野慶久氏は、この質問に対し「企業理念は無視したほうがいい」と答える。青野氏がかつて勤めていたパナソニックでは、社員はみな、創業者・松下幸之助氏を敬愛していた。だからこそ、彼の言葉を大切にしたのだが、それが企業の変化を妨げたのではないかと青野氏は話す。松下氏が生きていたら、自分の言葉を変更した可能性もあるのに、松下氏の死後、その言葉は石碑に刻まれたように固定されて残ってしまったというのだ。しかし、大事なのは今ここに生きている人々であり、生きている人がわくわくできないのに亡くなった人の言葉を追いかけても意味はないと青野氏は主張する。

 こういった発想を持っているため、サイボウズの企業理念には仕掛けがある。バージョン番号が振ってあるのだ。イベントが行われた2019年12月時点では「企業理念2019」であり、2020年にはまた企業理念を変えるつもりだという。その理由として、企業理念はわくわくできるものに変貌を続けるのが自然だからだと話す。

 アイディール・リーダーズの永井恒男氏は、『ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』著者のフレデリック・ラルー氏が「パーパスは文字にしてはいけない」と話していたことを紹介した。良い仕事をして、良い心持ちでいればパーパスがおりてくるが、その際に書き留めてしまうと直感からのひらめきが得られなくなってしまうというのだ。しかし大きな企業では、文字化しないで周知するのは難しい。それを考えるとサイボウズのバージョン番号をつける方法は有効だと話す。

 青野氏は加えて、事業が縮小していくことに関してもこう話した。

「事業が縮小をしていくことは悪いことではありません。そう思ってしまうのは、組織を維持したい経営者のエゴに付き合わされているからです。事業が縮小したら転職すればいいんです。無理に目的をひねり出して事業を維持しようとするから、楽しく仕事ができなくなってしまうんです。人間本位だということを見失ったらいけないと思います」

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