スーパーの例でみるエモーショナルCJM活用
既存顧客の感情とロイヤルティに与えるインパクトが可視化できた後は、どのようにそれを活かせばいいのだろうか。金子氏はスーパーの例を挙げて説明する。
スーパーの顧客を年間利用金額の軸で、ヘビー、ミドル、ライトとしてセグメントに分ける。そしてNPSを測る際の「あなたはこのサービスをどれぐらい友人や知人に勧めたいと思いますか?」という質問に対する10点満点評価で、0〜6点をつけた顧客を「批判者」、7〜8点をつけた顧客を「中立者」、9〜10点をつけた顧客を「推奨者」として、各セグメントで分類する。
このスーパーの場合、ミドルの、年間利用金額がそこそこ多い層に批判者が3割ほどいる。この場合、できればこの顧客が中立者に、購入金額もヘビーまで上がっていくことが望ましい。そこでエモーショナルCJMを活用する。ミドルの中立者とミドルの批判者のCJMを見比べ、どのタッチポイントで課題の差があるのか、批判者にだけ大きく課題があるところはないかを確認するのである。
この例では、「店員・レジ」という点に大きな課題が現れている。さらにそれを細かく見ていくと、時間帯別では土日の夕方以降に非常に大きな課題が見え、さらに深掘りしていくと、その時間のレジの待ち時間と店員の態度に問題があり、それが大きく顧客の推奨度に影響を与えている、などといったこともわかってくる。そこをテコ入れすれば、批判者の課題は解決し、中立者に底上げできる可能性が高まるというわけだ。
これはLTV×ロイヤルティ別分析をしたものだが、分析軸には年代別、エリア別、顧客ステータス別など様々なものがある。昨今ではデジタルとアナログの別で分析軸をとることもある。これは、アナログツール利用者とデジタルツールの利用者で課題の差を見るものである。
たとえば、クレジットカードの利用者で紙の明細を使っている顧客とWeb明細・アプリ明細を使っている顧客とでどこに差があるかを確認することは、デジタライズしていく際の改善ポイントを見極める上で有用である。