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ブランド駆動型ビジネスの構築と実践

なぜ商品開発が先行した事業は失敗するのか──適切な顧客体験の蓄積が「ブランドビジョン」を叶える

第3回

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ステップ2:顧客の欲求と提供価値の検証 (1)WILLは顧客のどんな欲求に応えるのか

 WILLを導き出したら、顧客目線で探求テーマの有効性の考察を行う。その際に私たちが活用するのが、人間の欲求や感情をまとめた一覧だ。これには様々なものが提唱されているが、下記の「欲求59種類の一覧」は網羅的で役立つ。

タイトル

 ワークショップでは、PPOFで議論したストーリーとWILLが具体的に人間のどんな欲求に応えるのかを議論する。

 まずは「59種類の欲求リスト」から親和性が高いと思う10項目をワークショップ参加者それぞれが選択し、さらに次点として5項目をチェックする。それらをホワイトボードなどに書き出して、どの欲求が多くの支持を集めたか確認し、個別の欲求についてファシリテーターが下記のような質問を投げかけながら議論を深める。

  • なぜこの欲求にチェックを付けたのか?
  • この欲求へのチェックが少数派なのはなぜか?
  • 欲求の解釈に差違はないか?
  • この欲求が次点なのはなぜか?

 WILLと対応する欲求を参加者で共有することで、WILL策定の段階ではまだおぼろげだったWILLの意義や価値のイメージがクリアになる。顧客視点で欲求を考察するこの第2ステップの議論は、「5BS」の次のフェーズである「タッチポイントの設計」、ブランドのトーン&マナーを規定する「CI/VI&メッセージの設計」にも効いてくる。

 前回、事例として紹介した予防医療をテーマにしたWILLを例にすると、下記のような欲求がフォーカスされ議論されるだろう。

 優越欲求、指導欲求、愛情欲求、達成欲求、自己成長欲求、知識欲求、自己主張欲求、理解欲求、秩序欲求、集団貢献欲求、社会貢献欲求、教授欲求、同調欲求、批判回避欲求、服従欲求、安心欲求、安全欲求、親和欲求、協力欲求、従順欲求、自己規制欲求など。

 WILLと欲求の関係はこの時点であくまで仮説であり、客観的な正解はないので参加者が直感的に議論して良い。実りある議論にするポイントは、これらの欲求に応えるのがどのような「価値」なのかを検討することである。策定したWILLが人間の様々な欲求にどう応えるのかを議論することで、どのような顧客体験価値を提供する新規事業なのかが少しずつ見えてくる。

参考文献:『多変量解析からみた心理発生的欲求の分類と構造』(荻野 七重 齊藤 勇 白梅学園短期大学紀要 1995 p128 )

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この記事の著者

岡村 忠征(オカムラ タダマサ)

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