プロジェクトマネジメントは「ゴールの共有」が肝
続いて徳谷氏は、人材のマネジメントとともに「リモートで余計に難しくなった事柄」として、「プロジェクトマネジメント」(以下PM)を挙げた。
「PMでは『タスクをどう割り振ってどう進めるか』に論点が偏りがちなのですが、実はその前段が最も大事です。多くのプロジェクトはゴール設定や共有が、現場からすると十分ではありません。そもそも『何のために取り組むか』の意義と『達成基準』を明確化・共有した上で『どうやるか』に落とし込んでいくことがポイントです」
また、徳谷氏は「ゴールを設定し、それをチーム内で共有していく際のポイント」として、次のようなTipsを共有する。
ゴール設定の際には目的(Why)/内容(What)/期限(When)/範囲(Where)/対象(Who)/手段(How)の5W1Hで整理すべきですが、最も大切なのは相手目線でこのプロジェクトの意義(Why)をしっかりと落とし込むことです。
イメージがあいまいなまま作業を進めると必ず手戻りが発生する。自分が理解している情報を誰かに伝える際、その情報量は発信の段階で70%に、相手に伝わった段階でもまた70%に落ち込む。『70%×70%の法則』で最終的には元の情報量の50%以下になります。“伝えた”からといって“伝わる”とは限らないと認識しなければなりません。
相手に伝わっているか確認する最大の方法としては、メンバーに『最初のステップは何からやる予定?』など、相手に話をさせて確認をとるような双方向の理解度確認が望ましい。
ゴールの設定・共有を終えたら、次は「プロジェクトの計画・設計」の段階となる。徳谷氏は、この段階においてはPDCAの大切さを理解していても「Doから始めてしまいがち」なことを指摘し、特にリモート下においては、先んじてのリソース確保・分配と、どのタイミングでマイルストンチェックするのかはあらかじめ決めておくことの必要性などを語り、「走り出す前に、まずは計画立案を!」と強調した。
最後に徳谷氏は、
「リモートによってマネジメントの難易度が確実に上がっていますが、今日お話した『1on1』や『プロジェクトマネジメント』には基本的な作法があります。まずはそれを知っていただきたいと思ってお話しました。組織としてその基本を『インストール』しておくことはとても大事です。今日ご紹介した原理原則の他に応用段階がありますが、まずはこれまで感覚的だったやり方を、理論的なものに変えていくことを今一度考えてみてください。そのためには、現場任せではなく、経営や人事が体系だった施策を推進することもとても大切なことです」
と、各社の支援事例を踏まえた全体最適での施策設計の必要性を語り、第1回「働き方のニューノーマルを考える オンラインフォーラム」を締めくくった。