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レジリエンスは、学習する“個人と組織”に必要なもの

『レジリエンス 復活力』

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システムレジリエンスをめぐる試行錯誤と条件

 まずシステムでは、レジリエンスがうまく構築できず、試行錯誤をした事例として、インターネット、ジャマイカの漁場、リーマンショックを引き起こした金融市場の事例を紹介しています。これらに共通するのは、一方で効率的で脆弱でありながら、他方で非効率で頑強であることです。

 これらの事例はいずれも脆弱さと頑強さのバランスで失敗をし、試行錯誤を繰り返しながら調和点を見出しています。その方法がなかなか面白いのですが、たとえば、漁場のレジリエンスとして、ポートフォリオを持ち込み、リスクとリターンの最適化を図っています。

 逆に、金融システムにブダイ科の「アカククリ」という魚の持つ「潜在的機能集団」という性質を取り入れることで、レジリエンスを構築しようとした事例も紹介しています。健全な状態でサンゴ礁についた藻はブダイが食べています。ところが藻が優勢になるとブダイは藻を食べなくなるのですが、そこでアカククリという肉食の魚が藻類を食べていることが発見されました。金融の世界では、1929年の世界大恐慌のときに誕生したスイスのWIRという代替通貨がアカククリのような潜在的機能集団を果たしていると指摘しています。

 このような事例から、レジリエンスの構築には「システムのダイナミクスと再構築可能性の維持」が不可欠であり、そのためには、

  • 信頼性の高いフィードバックループ
  • ダイナミックな再構築
  • 固有の対抗メカニズム
  • 分離可能性
  • 多様性
  • モジュール構造
  • 単純化
  • 高密度化

といった構造が必要だとしています。

 これらの構造の実現事例として、アルカイダや結核菌にみられる、長らく休眠し、機が熟せば規模を拡大して高度に統制された集団を形成し、活動を開始するという、「感知、拡大、集散のダイナミズム」、人間のように「固有受容感覚」を持って機能する送電システムなどの例を示しています。そこでは、これらの類似性についても言及されています。

 さらに、多様性の観点からは、都市と熱帯雨林を取り上げて、レジリエンスのために多様性や密集していることの重要性を説いています。

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必要条件としての人やコミュニティのレジリエンス

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この記事の著者

好川 哲人(ヨシカワ テツト)

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