2020年に急速に高まったDXの“知見”への需要
「2020年はDXという取り組みが急速に進んだ1年だった」。これが、ビジネス領域に特化したナレッジプラットフォームを活用して、様々な企業の新規事業や研究開発を外部から支援してきた私宮川の実感です。
我々のサービスは、企業の抱える課題や調査ニーズに対して、外部の知見とマッチングすることでイノベーションを支援しており、その依頼数は2013年のサービススタートから数え、既に8万件になろうとしています。そして、企業からいただく依頼内容を見ていると年によりトレンドが大きく変わっていくことがわかります。
たとえば2016年に電力の小売自由化がスタートした時にはその領域に関する知見へのニーズがこれまでに比べて大きく高まったように、「DX」の知見を求めるニーズは年々増加の一途を辿り、特に2020年はそれが飛躍的に増える結果になりました。
こちらは我々が2020年にマッチングした、3万件以上の中でどのような知見へのニーズが増えたのかを調査した結果です。2019年と2020年の依頼案件タイトルのキーワードから、前年との出現数を比較したものになります。つまり、ニーズが“伸びた”知見ランキングといえます。
昨年はなんといっても新型コロナウイルスの流行により、リモートワークなど働き方への激変に対応すべく様々試行錯誤をしたり、リモート×○○(会議、学習、管理ツール等)といった新たな生活様式に対応するサービスを検討したりする企業が増えた背景もあり、「リモート」というキーワードが11倍と最も伸びています。そしてその次に伸びたのが、まさに「DX(7.7倍)」「デジタルトランスフォーメーション(4.7倍)」というキーワードです。
実際の案件内容は「特定業界全体のDX動向」や「具体的な自社ソリューションによるDX化のニーズ」といった自社ソリューションを活用して、特定の領域のDXを推進していくことを検討しているものから、「社内でDXを推進していく仕組み」や「DXの実現にあたっての組織体制」といったDX推進に向けた社内側の組織作りをどう進めていくかというものまで、社内外両方に関するDXの課題が存在し、すぐにでも動くべきという企業の意志が感じ取れました。
2020年は声高に「DX」と叫ぶだけではなく、具体的に「DX」という切り口で動いていかなければいけないというある種の切迫感が大きくなった年だったことがわかります。では、企業はDXを推進するにあたり、どのような課題を抱えているのでしょうか。