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松谷化学工業で進むボトムアップ型のDX──研究開発担当者が推進する3つの変革

第3回 ゲスト:松谷化学工業 廣澤氏

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 デジタルトランスフォーメーション(DX)実務の第一線を担う担当者から、ベストプラクティスや想いを引き出し共有知化するために、「企業内DX推進コミュニティ」の参加各企業の取り組みを掘り下げていく本連載。
 今回は、「企業内DX推進コミュニティ」の中でも最もアクティブな発信者の一人である、松谷化学工業株式会社 研究所 調査戦略G リーダーの廣澤秀二郎氏に、ボトムアップでDXを推進するポイントを伺いました。聞き手は「企業内DX推進コミュニティ」の幹事企業である株式会社ビザスクの宮川晶行氏です。

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食品素材メーカーが営業のオンラインセミナーを企画した理由

宮川晶行氏(以下、敬称略):まずはどのようなお仕事をされているか教えてください。

廣澤秀二郎氏(以下、敬称略):松谷化学工業は、でんぷんを素材とした製品を製造する企業です。麺をモチモチにする、コロッケの衣をサクサクにするといった食品を美味しくする原材料から、血糖値の上昇を抑える、脂肪の吸収を抑えるといった健康用途の素材まで、数百のプロダクトを提供しており、当社製品を食べずに日本で生きていくのは難しいというくらい、相当数の食品メーカーと取り引きしています。

 私は、大学院卒業後に入社した製パンメーカーから転職してきました。当社は製品をお客様に提案する際、実際に弊社製品を加えて焼いたパンを食べてもらうなどの商談を行いお客様に価値を伝えていくので、パンを焼くことができる即戦力の人材として採用されたのかもしれません。入社から昨年まで商品開発、応用開発に携わっており、今は研究所の調査戦略グループという、私ともう1名で新設された部署で、情報活用の仕組み作りに携わっています。

宮川:「情報活用の仕組み作り」ということですが、どのようなことをされているのでしょうか。

廣澤:主に営業セミナーのオンライン化、Salesforce活用促進、技術データベース構築を行ってきています。

 最初は商品開発の傍らで、コロナ禍で顧客訪問ができなくなったという営業の課題に対してオンラインセミナーを提案し、集客や運営を担当していました。オンラインセミナーを実施したものの、お客様とのやり取りがうまく残っていかないため、オンライン営業の効果を定量的に評価できないことがわかりました。そこで自らSalesforceの認定資格を取得し、SFAやCRMのプロセス整備に取り組むようになります。そうした取り組みが社内に知られていき、研究情報の共有や活用までまとめて仕組み化するために研究所内に部署が新設されました。

宮川:営業のオンラインセミナーはなぜ開催することにしたのでしょうか。

廣澤:コロナ禍以前はお客様先でセミナーをやっていましたが、初めて緊急事態宣言が発出された去年の5月頃には、顧客訪問ができなくなっていました。その解決策として、複数社向けのオンラインセミナーを提案したのです。

 6月上旬に開催したところ、50名の定員が2日で埋まりました。その後追加を重ねた結果、1ヵ月で計5回、延べ250名に参加いただきました。当時原材料メーカーでこのような取り組みをしている企業は私の知る限り他になく、珍しかったのかもしれません。

宮川:社内の反応はいかがでしたか?

廣澤:確かに検討段階では「情報漏洩の心配はないか?」という不安の声もありました。そのような意見に対しては、対面でも録音はできるし、紙の資料だってデータ化できるので、オンラインだから心配ということはないはず。また、複数社向けではあるが、本当に重要な話は個別に話せばいいと説得して回りました。

 開催に向けて社内を説得する際には、研究所の副所長が前向きに応援してくれるなど、周りからの後押しが励みになりました。

次のページ
なぜ研究開発を担う廣澤氏がSalesforceの運用や製品データベース構築を進めるのか

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この記事の著者

高橋 龍征(タカハシ タツユキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

宮川 晶行(ミヤガワ アキユキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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