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安田准教授と語るアフターコロナのマーケットデザイン──「関係性の可視化」と「距離感」による新たな市場

第2回ゲスト:大阪大学大学院 経済学研究科 准教授、株式会社エコノミクスデザイン共同創業者 安田 洋祐氏

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「プロダクト×サービス」の鍵となるカスタマイゼーションは“相思相愛のマッチング市場”で起こる

安田:「カスタマイゼーション」を市場的な観点で捉えると、それはマッチング型の市場に移っていくということだとも考えられます。旧来の大量生産を前提とした個別化されていない標準化された商品の場合、取引の場は、売り手と買い手がお互いに匿名でも売買できるような教科書的な市場でした。商品のクオリティと価格の折り合いがつけば、お金だけを通じて取引が成立する。誰が売るか、誰が買うかは問題になりません。

 ところがマッチング市場では、「この作り手の商品を買いたい」とか「この相手にだけ売りたい」というお互いの相性のようなものが入ってきます。相思相愛でかつ金額で折り合いがついた相手と取引を行うのがマッチング市場なのです。このようなマッチングは、IoTやDXが進めばさらに精度が高まりますが、実はかなり以前からさまざまな形で存在するものです。一番わかりやすいのが労働市場でしょう。新卒で就職活動をするとき、お金の条件さえ合えばどこにでも就職するという大学生は少ないですよね。いくつかの企業から内定が出た中で、自分がより活躍できそうな職場はここだと、“相性”を重視するはずです。企業側も同じで、この給料以下で働いてくれるのであれば誰でもいいという企業は、少ないでしょう。もちろんお金も重要な要素にはなりますが、相性が決定的に重要という意味で、労働市場はそもそもマッチング型の市場でした。ほかに、お金の貸し借りもそうです。銀行は、融資をするときに借り手を選びますし、借り手の信用力に応じて貸出金利を変えます。

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