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安田准教授と語るアフターコロナのマーケットデザイン──「関係性の可視化」と「距離感」による新たな市場

第2回ゲスト:大阪大学大学院 経済学研究科 准教授、株式会社エコノミクスデザイン共同創業者 安田 洋祐氏

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 今回はゲーム理論や行動経済学、マーケットデザインなどを専門に研究する経済学者であり、メディアへの出演も多い安田 洋祐氏(大阪大学大学院経済学研究科准教授)に、経済学の知見がどのように社会に実装されていくのかを対談から紐解く。前編では、「日本でのワクチン接種」や「環境対応」などの例から、経済学の社会実装を議論した。
 後編である本稿では、プラットフォーマー規制の話題から議論をスタートし、プラットフォーマーを主なプレイヤーとする市場から、新たなマーケットのデザインの可能性に言及。その中で日本企業にはどのような勝ち筋があるのか、その上で鍵となる「可視化」と「距離感」や新たな資本主義の可能性まで、議論が発展した内容をお届けする。※本取材はZoomにて実施。

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プラットフォーマー規制の“向こう側”には何があるのか

馬田 隆明氏(東京大学産学協創推進本部 FoundX ディレクター、以下敬称略):前編では、長期的にインパクトのある社会実装を行うために、経済学の知見、特に「行動経済学」と「ゲーム理論」を活用できることをお聞きしました。その中で行動経済学における「ナッジ」をとりあげてもらいましたが、GAFAなどのプラットフォーマーがアーキテクチャやナッジなどを武器に、さらに強大なパワーを持っています。

 そんな背景から欧州を中心に、プラットフォーマーに規制をかけていくという動きもあります。フェアネスという観点においてもマーケットデザイン含めた経済学の知見を応用できるのか、アドバイスをお願いします。

安田 洋祐氏(大阪大学大学院 経済学研究科 准教授、株式会社エコノミクスデザイン共同創業者、以下敬称略):ひとつには、マーケットを作る以上はそのマーケットで起こりえることを、透明性をもって利用者へ伝える必要があります。例えば「顧客情報をこんな形で使っている」ということがあまりにもブラックボックス化していると、不正の温床になりやすい。GAFAに代表される巨大なデジタルプラットフォーマーへの懸念が消えないのは、まさにブラックボックス化が異常に進んでしまっているからです。

 例えば検索エンジンの広告表示のアルゴリズムについて、基本的な考え方は公表されています。しかし「このユーザーがこのキーワードを入力したとき、この広告が表示される」という個別具体的なケースについては、背後に機械学習があるので説明できません。説明できないことを隠れ蓑に、検索エンジンを提供する企業が特定の企業を優遇しているんじゃないか、といった疑問や疑念も出てくるわけです。

馬田:そうですね。

安田:この問題の理想的な解決策は、特定のサービスについて複数のプラットフォームが競い合う状態を作ることです。ユーザーがあるプラットフォームに疑念を持ったときに、ほかに代替手段があれば逃げ出すことができます。それができない独占や寡占状態だと、自浄作用が働きません。あるマーケット自体を公正かつ利便性の高い形にするというデザインが必要ですが、そこにも限界があります。ですから、そのサービスに関してプラットフォーム間の競争が起きるようなマーケット自体をデザインする、という視点が必要になるのです。

 ただ、これは机上の空論と言わざるを得ないところがあります。プラットフォームは人が集まることでデータが集まり、そのことで利便性が高まり、さらにユーザーが集まるというサイクルがあります。後発プラットフォームがこの競争に参入するのは難しく、寡占化が進みます。このような背景からヨーロッパを中心に当局が規制をかけ、GAFAに代表される特定の企業が強くなりすぎないようにしようとしているわけです。でも、規制強化も根源的な問題解決にはつながらないと思います。

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DXが「プロダクト×サービス」の領域に浸透する

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