DXが進んだ世界での「リアルなプロダクト」の方向性
安田:日本の家電メーカーや自動車産業などの伝統的なものづくりの企業が強かった時代は、プロダクトがあまり差別化されていないマーケットでの戦いでした。平均的に質が非常に高くて価格がある程度安いものを大量に作り、一人ひとりのユーザーのニーズに応えてカスタマイズするといったことを犠牲にしてきたやり方です。これは、プロダクトで社会に貢献し、その対価として「売上」や「利益」という形でパフォーマンスが可視化される伝統的な市場です。一方で、現代のようなGAFAがビジネスの覇権を握っている世界では、先ほど説明したようにユーザーからの売上ではなく、時間を奪い合うマーケットでの競争で、徹底的に個別化、差別化されたサービスを提供しています。例えば、Facebookのニュースフィードに表示される投稿は、一人ひとり違いますよね。