SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

Purposeを起点とした新しい経営

Purposeを掲げることが企業と個人を豊かにする──インベスコ佐藤社長が語る「Purpose経営」

第4回 ゲスト:インベスコ・アセット・マネジメント 佐藤 秀樹氏

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket

なぜ金融会社であるインベスコがPurposeを掲げるのか

丹羽真理氏(Ideal Leaders株式会社 CHO、以下敬称略):インベスコは「素晴らしい投資体験を通じて、人々の人生をより豊かなものにする」をPurposeに掲げています。金融業界でPurposeを持つ企業は珍しいですよね。

佐藤 秀樹氏(インベスコ・アセット・マネジメント株式会社代表取締役社長兼CEO、以下敬称略):そうですね。ミッションやバリュー、ビジョンを打ち出す企業はありますが、Purposeという形で打ち出している資産運用会社は、あまり多くはないのではないでしょうか。

丹羽:Purposeは「組織は何のために存在しているのか」、つまりその組織の「社会的意義(社会に何を働きかけていきたいのか)」を示すものですよね。ビジョンとは「ある時点において実現していたい理想的な状態の具体的な描写」。ミッションは「自分たちは何者でありたいか」を表現する点でPurposeに似ていますが、誰かから与えられたというニュアンスがともなうこともあります。また、「社会的意義」が必ずしも含まれているわけではない点で、Purposeと異なりますよね。なぜインベスコでPurposeを掲げることになったのですか?

佐藤:その議論は8年程前にさかのぼりますが、その背景には、金融系の企業は差別化が難しいということがあったと思います。我々の強みは何かと考える中で、組織として、我々が「何を、どうやってするのか」だけではなく、「なぜそれをするのか」を的確に理解をしてくことが重要であるということにたどり着きました。

 金融商品は物理的に手に取ることができないために、他と何が違うのかがわかりにくい。その中で、その企業がどのような想いで商品を作っているのかが見えれば、お客様に伝わるものも変わりますよね。

 また、お客様だけではなく、社員にとっても「インベスコで働くことはどういうことなのか」を明確にするための話し合いの機会も設けてきました。インベスコでは人が財産だと考えていますが、金融業界は人の移動も少なくはありません。優秀な人材が集まり、強いチームを築いていくためには、そこに集まる理由と、異なる個人同士が志を一つにしてくことが重要なのは言うまでもありません。

 自社が何かを提供する理由、そして、自らが何のために存在しているのか。すなわちインベスコの存在意義を追求するプロセスにつながり、Purposeが定義されることになったのです。

丹羽:顧客に対してだけではなく、社内や将来の従業員に対してのアピールという面も大きいのですね。

佐藤:従業員が「なぜ私はこの会社にいるのだろうか」と考えた時に、会社のPurposeがあるのとないのでは大きく違います。同じPurposeに共感する優秀な人材が集まることで、会社にとっても、個人にとっても、意義のある時間を過ごしていただける場を提供することにつながるのではと思います。

丹羽:それは素晴らしいですね。Purposeはどのように決めたのでしょうか。

佐藤:インベスコのPurposeは「素晴らしい投資体験を通じて、人々の人生をより豊かなものにする」なのですが、これはインベスコの各拠点の代表者50名がロンドンに集まり、一言一句、本当に丁寧に議論を重ねたうえで作り上げたものです。私自身も、日本の代表としてこの会議に参加しましたが、特に印象深いのが「投資体験」という言葉を議論した際のことです。当初は「投資パフォーマンス」という言葉が挙がっていました。金融は数字の世界でもあり、運用の成果で評価されることが多いこともあって、自然と出てきた言葉だったのだろうと思います。しかし、私はこの言葉に少し違和感を覚えました。なぜなら、運用会社が提供できるものは、金銭的価値だけではないと思っているからです。正しい投資の知識を身につけ、必要な資産を築いていくことで、より豊かな人生を歩んでいくことができる。我々資産運用会社は、その一助になることができるし、むしろそうあるべきだと私自身強く信じています。

 車で例えると、運用はエンジンです。しかし、車にエンジンだけあってもダメですよね。他のパーツと組み合わさって車となり、さらにサービスまで含めた評価で選ばれています。1つのパフォーマンスの良し悪しではなく、お客様がインベスコの運用商品を購入時から最後に解約する、売却するまでの一連の流れの中で、素晴らしい体験をしてもらうことを重視したいと思いました。そこで迷わず、「“パフォーマンス”ではなく“体験”がいいのではないか」と声を上げました。

丹羽:“体験”とすると、運用に関わらない方も自分に関係のあることとして考えられますね。

佐藤:そうでないと全社が一丸となれないですよね。Purposeを作る過程でも、文化的背景が違っても、それぞれの違いを認め合いながら話し合うことで一体感が生まれたことを、今でもよく覚えています。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
Purposeが企業にもたらした変化

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
Purposeを起点とした新しい経営連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

フェリックス清香(フェリックスサヤカ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

丹羽 真理(ニワ マリ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング