「労働市場の複雑化」という変化の影響
東京商工リサーチの『2020年「業歴30年以上の“老舗”企業倒産調査」[6]』によれば、2018年に倒産した企業の平均寿命は23.9年となっており、医学進歩や健康志向により人々の平均寿命が延びる一方で、企業の平均寿命が相対的に短くなっている。イギリスの組織論学者リンダ・グラットンの著書『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』の中にもあるとおり、私たちは「人生100年時代」を迎えており、従来の教育→仕事→老後という直線的な人生ではなく、教育と仕事のサイクルを回す「マルチステージ」の概念を取り入れ、それぞれのステージに合わせた企業選びが求められている。
ここでは日本企業の労働市場における特徴的な変化として「雇用の相互選択関係」と「ワークモチベーションの多様性」を挙げる。これらの2つの変化から、企業が労働市場で従業員から「選ばれ続ける」ための「人材に投資する難易度」が高まっていると考える。