多言語対応がオンラインでの顧客体験を向上させる
WOVNのような多言語化ソリューションが注目される背景として、森山氏は「消費者の購買行動が激変していることがある」と語る。
既に多くの消費者は、何かものを購入するときにはオンラインで情報を調べ、店舗には“確認”という形で訪れ、実際に触って購入することが多い。たとえば、服を購入する場合、オンラインでは、スペックや購入者のレビュー、ブランドメッセージや考え方、SDGs的な観点などを“情報収集”し、店舗では、ものの質感やサイズ感、使用感に加え、気持ちよく接客してもらうことなど“体験”を求める傾向にある。どちらかといえば、徐々に実際の購入はオンラインが増加しているとはいえ、自分が大切にしているものであるほど、リアルな店舗で確かめて購入したいと考えるのが自然といえるだろう。
そうした中で、Webサイトでの情報の出し方が重要になってきているのは間違いない。何か欲しいモノがあるとき、“わかりやすい”サイトに見に行くのは自然なこと。外国語と母国語のサイトなら母国語のサイトを選ぶだろう。事実、EUの調査では、42%のユーザーはWebサイトでは母国語以外で商品購入をしたことがなく、さらに世界の主要150サイトは平均33言語をサポートしているという。
「EUは多言語な文化圏といわれるが、それでも母国語での情報収集を優先させているということからも、言語による情報サポートが重視されていることが伺える」と森山氏は強調する。
さらに、世界において日本語ユーザーは3%に過ぎず、さらに英語ユーザーであっても25%、大多数を占めるのが、中国語、スペイン語など7つの非英語ユーザーで46%にも上る。つまり、外国語対応といっても英語だけでは十分とはいえず、多様な言語への対応が求められるというわけだ。
森山氏は「自社製品・サービス・データの多言語化は必須になってきている」と改めて強調し、「日本の市場は衰退傾向にあり、現在平均年齢も50歳を超えた。それにひきかえ、COVID-19の影響でインバウンドこそ減少しているとはいえ、外国人ビジネスの売り上げは2018年で10兆円と急増している。さらにインターネット上のデータ量は2020年で59ZB(ゼタバイト)とますます増加している。その中で、オンラインでの顧客体験を向上させるには、やはり母国語対応、つまりは多言語対応が必須といえるのではないか」と訴えた。