昨今、デザインに求められる役割が変化していく中で「日本のデジタルデザイン業界が俯瞰できるデータがない」「デザイン投資に関する企業の意思決定基準がない」という課題感をデジタルデザイン業界は抱えていたという。デジタル業界を牽引する企業とデザイナー双方の視点での調査が可能なReDesignerは、デジタルデザイン業界の発展に貢献することを目的に2019年からデザインデータブックを公開している。
デザインデータブックのサマリ
1:企業のデザイン投資トレンド
- デザイン組織への高い投資意欲:デザイン投資に効果を実感が7割。デザイナー増員企業は増加傾向へ
- 人材確保に対する課題はより顕著に:デザイン投資の阻害要因は人材採用に対する回答が最も多く採用課題がないと答えた企業も14%から2%まで減少
- 人材獲得手段の多様化:正社員の即戦力獲得が難しくなる中で、副業・フリーランスを取り入れる企業は56%。新卒採用を検討企業も29%から36%へ増加
2:デザイナーのトレンド
- デザイナーの役割がより鮮明に:ブランディングへの関心が強い結果。UXデザインが得意と回答するデザイナーは増加傾向
- 働き方の多様化への関心も:副業やフリーランスといった働き方への関心の高まり。週2〜3日や土日を含んだ働き方などへのニーズが伺える
3:学生デザイナーの就活トレンド
- デザイナー志望学生の多様化:デザインの学習期間が2年以下の総合大学の学生もデザイナーを志すように。UI/UXデザイナー等の職種への関心が高まっている
- 学習やレビュー機会が求められている:学生は、授業外の自己学習やインターンなどで学習。但し、自分なりのやり方で学ぶことが多く先輩や社会人からのレビューが求められている
ReDesigner事業責任者 佐宗 純氏は以下のように述べている。
「デジタルデザイン業界を可視化するデザインデータブックは今年で3回目の発表になります。デザインの価値の変化を定点観測し、企業のデザイナー採用やキャリア支援、デザイン投資を行う際の意思決定に役立ててほしいという想いで本企画を続けています。今年からは「デザイナーの副業・フリーランス」に関する情報や、「デザイナー志望学生の就職活動やデザイン学習」に関わる情報を新たに追加し、よりデジタルデザイン業界の動きを面で理解できるように改善を重ねました。今年のデータからは、「デザイン投資を阻害する最大要因は『人材の採用』が38%。「母集団が形成できずデザイナー採用に苦戦する企業は増加傾向」など、企業がデザイン人材の採用に苦戦している現状が伺える結果となりました。これらの結果を真摯に受け止め、ReDesignerはこれからも企業にはデザインに対する正しい認識を、デザイナーには過去の事例や経験に囚われずに、よりデザイナーが活躍できる土壌を広げていくことで、社会におけるデザイン価値の向上とデザイナーが活躍できる領域の拡大を目指してまいります」
調査概要
企業のデザイン投資トレンドについて(デザインデータブックp.10〜p.59)
- 調査期間:2021年9月15日〜2021年10月1日
- 調査方法:Googleフォームにてアンケートを回収
- 調査対象:ReDesignerもしくはGoodpatchと過去取引のあった企業
- 有効回答数:109社
デザイナーのトレンドについて(デザインデータブックp.60〜p.75)
- 調査期間:2020年10月1日〜2021年9月30日まで
- 調査対象:調査期間中にReDesignerに登録したユーザー
- 調査方法:ReDesignerウェブサイトにて登録者にアンケートを回収
- 有効回答数:1,496名
学生のデザイナー就活トレンドについて(デザインデータブックp.76〜p.87)
- 調査期間:2021年9月17日〜2021年10月8日まで
- 調査対象:2022年〜2025年卒業予定のデザイナー志望学生
- 調査方法:Googleフォームにてアンケートを回収
- 有効回答数:164名