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事例で学ぶ「売上データ分析」

老舗温泉旅館では、どのような「データ根拠」からピボットしたのか?

第2回

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 前回は老舗温泉旅館の事例から、「データの裏づけの無い仮説」がもたらす方向性を間違えた課題解決の危険性、そして、ではどのように「データの裏づけも持たせた仮説」を立てるのか? また、その解決に必要となる「因果関係」と「相関関係」の違いなどがデータ分析で非常に重要だということを解説しました。今回は、具体的な改善策を「データ分析」として立案するのかを、解説します。

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「販売改善施策の基本」と「データの裏づけ」を持った仮説

 「顧客満足度を向上させ売上高が増加するだろうという思い込みで進めた改善」の反省から、改善の方向を、「売上高=宿泊者数×客単価」という基本に立ち戻り、売上高を効率的に増やすためには宿泊数を増やすか、客単価を増やすかという視点で、過去の売上データを分析し、施策を再度策定することにしました。

売上高=宿泊者数×客単価図1:売上高=宿泊者数×客単価

 そのためには、過去の売上データを整理し分析する必要があります。「顧客単位」で「宿泊数」を分析するためには、「顧客という項目のデータ」が必要となります。しかし、顧客単位で分析するための顧客IDは売上データの中にはなく、過去に遡り顧客IDを項目として入れた新しい売上データを作成しました。
 また、その時に「宿泊をいつ予約したかという情報」もデータの中にいれ、宿泊の何日前に予約をしているかをデータに組み入れました。この予約の情報は、これからの販売促進タイミングのキーとなります。「客単価の情報」については、宿泊代の情報と宿泊に直接関連づけられる金額は把握できますが、館内での消費金額、特に大きな金額である売店の売上金額と顧客IDを紐付けるデータについて作成することは出来ませんでした。

顧客IDを紐付けるデータ図2:顧客IDを紐付けるデータ

 客単価は、同じ温泉街の他の旅館との比較となり簡単には単価を上げることができません。そうなると「宿泊者数を増やすことで売上高拡大」という選択肢しかありません。宿泊者については、大きく分けて「リピーター」と「新規顧客」の区分となります。新規顧客を増やすには、多額の販促費が必要です。旅館ビジネスの特長として、宿泊部屋数以上に宿泊者を入れることは出来ないので、販促を間違えると多額の販促費を掛けて、宿泊客が多くなっても断るだけという結果になります。「繁忙期と閑散期の差をどう小さくするのか」も重要となります。
 販売促進活動のコストの少ない方となると、「リピーターの宿泊回数を増やす」ということになります。現在年間2回宿泊のリピーターを3回に、3回宿泊のリピーターを4回に、4回宿泊のリピーターを5回に出来れば売上高の約4%~8%を上げることも可能であると試算しました。「リピーターの宿泊回数を増やし、前年度対比4%の売上拡大と営業黒字化」という目標を設定し、そのための施策を策定することにしました。

リピーターの宿泊回数を増やす施策図3:リピーターの宿泊回数を増やす施策

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「旅館ビジネス」では、リピート数には上限がある

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この記事の著者

吉田 充(ヨシダ ミツル)

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