富士フイルムは、バイオ医薬品の開発・製造受託事業の成長を加速させるため、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下、FDB)の欧米拠点に、総額約2,000億円の大規模投資を行うと発表した。この投資は、バイオ医薬品市場で高いウエイトを占める抗体医薬品の生産能力増強を目的に、FDBのデンマーク拠点と米国テキサス拠点に対して実施するもの。
同社は、抗体医薬品の製造受託ニーズを受け、最短で生産設備の立ち上げが可能なデンマーク拠点に、20,000リットル培養タンク8基を追加導入する第2弾大型設備投資を行うという。同投資により、2026年までに、同サイズのタンク保有数を、デンマーク拠点で20基、全世界で合計28基に拡大させるとしている。
また、デンマークで脱炭素に向けた取り組みを推進するため、今回の増強設備には、天然ガスを動力源とする従来のボイラーに代えて電気ボイラーを導入予定。生産過程におけるCO2排出量削減に向けて、電気ボイラーの動力源には、再生可能エネルギー由来の電力を採用していくとしている。これらの取り組みにより、FDBのデンマーク拠点では、2030年度までにカーボンニュートラルの実現を目指すという。
加えて同社は、世界最大のバイオ医薬品市場である米国にも投資を行い、欧米両市場で連続生産システムによる原薬製造体制を確立する。今回、英国拠点に続き、米国テキサス拠点に連続生産システムによるGMP製造が可能な設備を導入。新薬開発を行う顧客との協働のみならず、規制当局との連携で早期商用化を目指し、連続生産システムを用いた製造受託のグローバルな市場形成を図るとしている。