「知」を生むサイクルに乗るためのハードル
研究成果の公開を促す仕組みは論文制度だけではない。同じく17世紀に成立した近代特許法は、優れた発明の公開を代償として、発明者に一定期間発明を独占する権利(=特許権)を与える。新規発明を独占できることは経済的利益に直結するから、発明をいち早くオープン化するインセンティブとして働く。得られた利益を再投資すれば、次なる発見やアイディアに結び付き、再び「知」を生むサイクルに乗れる。
素晴らしい制度であるが、著者によれば、オープン化のサイクルを生むはずのインセンティブは、同時にオープン化を妨げるハードルにもなってしまっているという。