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オムロン竹林氏が語る、社会的課題の解決と海図によるDX推進──攻めと守りのDXと人材の起承転結とは?

Biz/Zine Day 2022 SummerレポートVol.1

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 新しい価値を創造し、市場での競争優位性の獲得を目的とした「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」。DXにおいて「業務効率化・コスト削減」を成果として挙げる企業が多いが、「新製品・サービス創出」や「新規事業創出」のためのDXは依然としてハードルが高い。いかに「業務効率化・コスト削減」などのDXに取り組み、イノベーションのためのDXを起こすのか。2022年7月開催の「デジタルで変える製造業の組織と現場」をテーマにしたBiz/Zine Day 2022 Summerでは、数々の新規事業を牽引し、政府や大学でもイノベーションの伝道師として活躍するオムロン株式会社イノベーション推進本部でシニアアドバイザーを務める竹林一氏が登壇し、イノベーションにつながるDX推進に関して解説した。

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DXでイノベーションを起こす社会的課題の解決と海図

 上層部がDXをやれと号令をかけたけれど、それは改善にしか過ぎなかったといった事例が枚挙にいとまがない。デジタル・トランスフォーメーションでイノベーションを起こすという命題に向かって見切り発車していないか、改めて足元も見つめなおす必要がある。竹林氏はその現状を踏まえ、「イノベーションとは、そもそも何ですか?」と切り出した。

 1911年に経済学者のヨーゼフ・シュンペーターがイノベーションを「組織や製造プロセスなども含めて、それまでとは異なる仕方で新結合し付加価値を創造すること」と定義しているが、事業を通じて「社会的課題を技術によって解決することで、よりよい社会を実現することだ」と竹林氏は解釈を加える。この「社会的課題の解決」を重視した考えは、オムロン創業の1933年以来、連綿と受け継がれている同社の屋台骨を支える経営理念でもある。

 「オムロンは創業当時から常に次の社会的課題は何かということを考えて、ここまでたどり着いた」という竹林氏にとって、イノベーションとは社会的課題を見つけ、それを解決した結果であると解釈する。

 オムロンでは“社会的課題の解決”を命題に新しい技術が開発されてきた。例えば、1964年に開発された全自動感応式電子信号機。高度経済成長期の真っ只中、自動車の普及による交通渋滞を解決するために生まれた技術だ。1967年に開発された自動改札機および無人駅システムも、高度経済成長期のラッシュアワーを解決するためのもの。常に社会的課題の解決のために新技術が生まれ、課題が解決されたことでイノベーションが起きた。技術開発を目的に据えるのでなく、社会の理想像とその実現に向けたロードマップを策定し、実際に行動を起こす。それがイノベーションという結果につながるのだと、竹林氏は説明する。

 自社の描くビジョンや具体的な事業構想が欠如する企業も多く、業務効率化とコスト削減を主眼に置いた小手先のDXやイノベーションに留まる企業も多いのではないだろうか。イノベーションの本来の目的は新しい価値創造であり、オムロンではそれを「ソーシャルニーズの創造」と呼ぶ。

 では、オムロンではどのようにソーシャルニーズを見極め、ロードマップに落とし込んでいるのだろうか。竹林氏はそのロードマップを「海図」と呼び、そこには未来の社会における潜在的ニーズを見据えた「中長期的なビジョン」が描かれている。この海図は、1970年に提唱された「科学と技術、社会が円環的に相互に作用しながら発展していくSINIC理論」がベースにある。その理論によれば、2005年からの社会は「工業化社会から最適化社会」へ変容し、2025年には「自律社会」へと移行し、その先には「自然社会」が到来すると予測されている。

 自律社会を「本来の幸福を追求する中で自分にあった価値を選び、自分自身の生き方や目標を設定して、その実現に向けて自らの規範で自分をコントロールしながら自己実現していく」ものだと、竹林氏は説明する。2021年末以降、実際に自律社会を前提とした新規ビジネスの取り組みが増えているという。その波に乗ってイノベーションを起こすには、オムロンの「海図」のような、社会の潜在的ニーズを捉えた中長期ビジョンが描けるかどうかにかかっている。

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この記事の著者

中沢 弘子(ナカザワ ヒロコ)

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