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事業開発の意思決定を突破するアプローチ

事業アイデアの全体像を可視化し、向き合うべき問いを導く「バリューデザインシンタックス」とは?

第3回

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新規事業開発の“複雑性”を克服する「CHECK」機能の重要性

 第1回の記事で解説した通り、新規事業開発は、前提となる数値や経験が乏しく、やってみないと分からない領域であるため、世に出し試す機会を得ることが非常に重要です。そのためには社内の意思決定を突破する必要がありますが、この際、ロジックを通じて事業のポテンシャルを定量化するだけでは不十分です。ロジックとともに、「このビジネスは絶対いける」というある種の直感に近いような「確信」が必ず必要となります。

 つまり事業開発とは、ビジネスモデルを構成する要素のうち、「顧客」「課題」「価値」「仕組み」に対してはミクロな視座で向き合い、リアリティを高めることで絶対にいけるという確信を得る。一方、「市場」「優位性」「収益性」に対しては、マクロの視座からロジックを用いて数値化し、魅力的なビジネスに成り得るという「確証」を得ていくという、仮説と検証を繰り返しながら、確信と確証を併せもつビジネスアイデアを創り上げていくプロセスなのです。

事業構想におけるゴール
事業構想におけるゴール
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 言葉で表現するとシンプルですが、実際は簡単ではありません。私たちNEWhでは、ビジネスモデルを「持続的に成立することを示す事業の全体構造」と定義していますが、言葉の通りビジネスモデルには“構造”があり、“整合性を作ること”が非常に重要です。顧客がいて、顧客が抱える課題に対して、渇望されている価値を、具体的な手法/体験を通じて提供する。顧客と課題があるということは、その集合体として市場があり、価値や手法に対して類似の競合が必ず存在します。その中で、自分たちのサービスがなぜ選ばれ、選ばれ続けるのかという戦略が必要です。

ビジネスモデルの構造と整合性
ビジネスモデルの構造と整合性
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 そして、その戦略・価値は仕組みを通じて体現され、仕組みによってコスト構造、適切な収益モデルが決まり、収入と支出が規定されていきます。顧客から始まるこのつながりの結果、発生する収支のバランスがとれていれば「事業が成立する」状態です。さらに、事業を通じて得られる資産やアセットを活かし、事業をより強固にしていく「持続性」を実現する循環も大切です。

 このように、ビジネスモデルとは全ての要素が整合性をもってつながり合っている構造であるため、捉える課題が変わると提供すべき価値も変わる。価値が変わると競争相手が変わり、とるべき戦略も変わる、といったように、どこか1つの要素を変えると他の要素も連動して変わります。

 事業開発では、こうした構造の中で全体の整合性を意識しつつ、ミクロやマクロといった視座、顧客課題や戦略といった向き合うべき要素、右脳と左脳、さらには扱うスキルや人材を切り替えながら仮説検証を繰り返し、確信と確証を創り出していく必要があります。

 誤解を恐れずに言えば、事業開発は簡単ではなく、複雑性をはらんでいるのです。事業開発の現場では、ビジネスアイデアの全体像への認識がメンバー間でズレていたり、今何と向き合っているのか、次に何を考えるべきなのかを見失ったりと、“事業開発迷子”になってしまうケースが多く見られますが、大きな要因はこの複雑性にあると言えるでしょう。

 そんな複雑性を克服するために、私たちNEWhでは事業開発を進めていくプロセスにおいて、ビジネスアイデアの現状を正しく可視化し、次に向き合うべき問いを規定する「CHECK」の機能が非常に重要であると考えています。

確信と確証を創り出すためのあるべきプロセス
確信と確証を創り出すための「あるべきプロセス」
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 仮説検証サイクルをただ回すだけでなく、都度立ち止まり、全体像を捉え、整合性を確認した上で、次に向き合うべき要素・問いを規定する。そして、再度仮説検証のサイクルを回す。このサイクルを繰り返す中で、事業の不確実性を減らし、確信と確証を高めていく。CHECKを起点とした事業開発プロセスを構築しましょう。

 大海に出る船乗りが海図とコンパスを必需品としていたように、事業開発においてもこのCHECK機能を担うツールが必要です。私たちNEWhでは、ビジネスアイデアの全体像/弱点を可視化し、次に向き合うべき問いを規定するツールとして「VALUE DESIGN SYNTAX(バリューデザインシンタックス)」というフレームワークを開発し、活用しています。

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この記事の著者

堀 雅彦(ホリ マサヒコ)

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