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「イノベーターシップ」による事業創造

21世紀のイノベーターは、「スーパージェネラリスト」をめざす

第6回:多摩大学大学院 教授 田坂 広志 氏

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「多重人格のマネジメント」が「多彩な才能」を開花させる

――「7つの知性」を垂直統合した「スーパージェネラリスト」になるためには、何が必要でしょうか?

田坂:
 「多重人格のマネジメント」が必要になります。なぜなら、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という「7つのレベルの知性」を身につけ、磨き、発揮するためには、それぞれ、自分の中に、例えば、「思想家的人格」「ビジョナリー的人格」「志士的人格」「戦略家的人格」「行動家的人格」「プロフェッショナル的人格」「ヒューマニスト的人格」など、様々な人格が無ければ、それらを垂直統合して身につけることはできないからです。

 そして、実は、優れた経営者やマネジャーは、無意識に、この「多重人格のマネジメント」を行っています。例えば、優れた経営者は、朝の経営会議では、収益目標に厳しく処する「辣腕の経営者」の人格が前に出てきますが、昼の若手社員との懇談会では、「包容力のある親爺」の人格が前に出てきます。全社員総会では、社の未来を魅力的に語る「情熱家」の人格が前に出ますが、ライバル企業との競争においては、「強かな戦略家」の人格が前に出てきます。
 このように、優れた経営者やマネジャーは、多かれ少なかれ、「スーパージェネラリスト」的な能力を発揮しており、その能力の本質は、幾つもの人格を自身の中に育て、場面や状況において、異なった人格を使い分けて処する能力なのです。

――そうした「多重人格のマネジメント」は、誰にもできるものでしょうか?

田坂:
 本来、誰の中にも、色々な人格が潜んでいます。問題は、それらの人格を表に出し、意識的に育て、場面や状況に応じて最も適切な人格で処する「多重人格のマネジメント」を身につけることができるか否かです。
 この「多重人格のマネジメント」を身につけるためには、次に述べる3つの自己訓練が必要です。
 第一は、自分の中にある「複数の人格」を発見し、それを表に出し、育てていく段階です。
 第二は、仕事や生活の場面や状況に合わせて、必要なときに、必要な人格を表に出し、その場に処することを学ぶ段階です。
 第三は、そのようにして、「複数の人格」の切り替えができるようになったとき、同時に、その「複数の人格」を、少し離れて見ている人格が現れる段階です。

――そうした「多重人格のマネジメント」を身につけると、何が起こるのでしょうか?

田坂:
 自分の中に眠っていた「隠れた才能」が開花し始めます。なぜなら、「才能」の本質は、「人格」だからです。しばしば世の中では、「彼は、性格的に、この仕事に向いていない」といった言い方をしますが、この言葉を逆に解釈するならば、自分の中に、新たな人格や性格を育てることができれば、自然に、その人格や性格に付随する「様々な才能」が開花し始めます。

 ただし、このとき重要なことは、心の中で、「自分には、この才能はあるが、この才能は無い」という「自己限定」をしないことです。
 しばしば、世の中では、「君は、緻密な性格だから、経理に向いている」といった言葉を使いますが、こうした言葉は、深層意識の世界に浸透していくと、「私は、だから、営業には向いていない」という自己限定の意識を強化してしまうことがあるのです。
 しかし、この「自己限定」の意識を捨てることができたならば、自分の中から、様々な「人格」が現れ、様々な「才能」が開花していくでしょう。

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