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「イノベーターシップ」による事業創造

21世紀のイノベーターは、「スーパージェネラリスト」をめざす

第6回:多摩大学大学院 教授 田坂 広志 氏

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21世紀の「イノベーター」は「スーパージェネラリスト」をめざす

田坂 広志

――ここまで、「スーパージェネラリスト」が身につけるべき「7つの知性の垂直統合」と「多重人格のマネジメント」について伺ってきましたが、この「スーパージェネラリスト」という人材像は、「イノベーター」という人材像と、どう関わってくるのでしょうか?

田坂:
 これまでの「イノベーター」とは、技術のイノベーションや商品・サービスのイノベーションなどを実現する人材と考える傾向が強かったのですが、21世紀の市場競争は、技術同士、商品同士、サービス同士の戦いではなく、技術、商品、サービスが有機的に結びついた「商品生態系」同士の戦いになってきています。そのため、市場競争も、「消費者から見て、いかに魅力的な商品やサービスの生態系を提供できるか」が、競争の本質になってきており、そうした優れた「商品生態系」を創出する能力こそが、21世紀の「イノベーター」の条件になってきています。
 その意味で、最も優れた「商品生態系」を生み出した一つの事例は、スティーブ・ジョブズの「iPod」です。これは、単なる音楽再生デバイスではなく、「音楽を手軽に楽しみたい」という消費者のニーズに答える「商品生態系」だったわけです。
 そして、こうした意味での「21世紀のイノベーション」を実現できる人材とは、まさに、スティーブ・ジョブズのように、確固とした「思想」を持ち、魅力的な未来の「ビジョン」を語り、それを商品開発を通じて実現しようとの「志」を抱き、卓抜な「戦略」を立てるだけでなく、それを強かに実行する「戦術」を展開し、天才的なプレゼンの「技術」を持つとともに、多くの技術者が周りに集まってくる「人間力」も身につけた「スーパージェネラリスト」に他ならないのです。

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