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小売業界が備えるべき“コロナ特需の終焉”──次の変化に対応できる「アジャイル型マーケティング」とは?

「Biz/Zine Day 2022 Autumn」レポート

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スーパーマーケットチェーンが、3週間で9万6,000人の新規顧客接点を創出

 まずは、米国Giant Eagle(ジャイアントイーグル)社の事例だ。同社は、1918年にペンシルバニア州で創業されたスーパーマーケットチェーンで、ガソリンスタンドや薬局、コンビニなど他業種を含めて400店舗以上を北米で展開しており、ローカルチェーンとして一部地域では非常に高いシェアを誇っている。

 高いシェアは、同社のユニークな取り組みによって実現したものだという。その1つが、買い物客へ、ガソリン無料券や食料品割引券と引き換えできるポイントを付与するプログラムと、その中で実施されるキャンペーンだ。

 ジャイアントイーグルは、自社店舗の近くに競合店舗がオープンするという情報を得ると、競合店舗がオープンする数週間前からその地域に住む買い物客向けに、3週間連続でボーナスポイントを付与するのである。これにより、自社店舗への来店を習慣化させ、競合店舗はオープン初動で出鼻をくじかれることとなった。

 これは、単なる地域密着のローカライゼーションから生まれた施策ではなく、人々の居住地情報や位置情報に基づく徹底的なセグメンテーションと、それを基に実践するパーソナライズによって生み出されたのだという。

 もう1つのユニークな施策は、コロナ禍でのローカル情報発信の取り組みだ。各地域でのワクチンの予約情報をSMSで提供することで、ロイヤリティの高いSMS購読者をたくさん獲得した。

 当時、米国では日本と同じように、居住地域ごとにワクチンの接種タイミングや会場設営方法が異なり、混乱が起きていたという。そんな中、ジャイアントイーグルは政府発表の情報を、数時間後には居住地域ごとにパーソナライズしてSMSで発信。生活必需品を販売するスーパーの開店情報や、衛生消毒情報を併せて掲載することで、同社のSMS情報は多くの人を支える情報インフラとなった。

 この取り組みは大成功を収め、わずか3週間で9万6,000人の新規SMS購読者を獲得。さらに、配信停止率も非常に低く、今でも多くの顧客とデジタル上でつながり続けている。

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 「これまでデジタルとはそれほど馴れ親しんでこなかった小売企業でも、パンデミックという環境激変の真っ只中でスピーディに施策を実施し、大きな成果を残した事例が出ているのです」と語る佐藤氏。日本では、Yahoo!が地図アプリ上に混雑度を可視化する混雑レーダーを実装したり、Smart Newsがアプリ上に新型コロナの特設タブを設けて、陽性者数の情報を提供したりする事例が見られた。しかし、この2社はIT企業である。

 なぜ、老舗の小売企業がこれほどスピーディに施策を実践できたのか。その裏には、Brazeが提供するマーケティング基盤の存在があった。自社の顧客データをマーケティング基盤上で有効活用し、消費者の生活やリアル体験に寄り添ったセグメンテーションを実現。そして、徹底的なパーソナライズにこだわった施策を打ち出したことが、成功の要因だという。

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チャネル横断型の顧客体験を実現 わずか2週間で自社アプリのApp Store内評価が急上昇

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この記事の著者

フェリックス清香(フェリックスサヤカ)

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