「全社での調整」「上流段階からの関与」「速やかな対応」が必須に
先に述べた“在庫を持つ”、“マルチ化”の対応策のポイントは、「全社での調整」である。以前は、サプライヤ供給力不足が発生しても多くの場合は一過性の事象であり、問題が起こった際は調達購買の担当者が、社内の営業部門や製造部門から「製造ラインが止まってしまう。誰が責任とるのだ」と言われ、部門トップからは「何とかしろ」と言われ、力業で何とかしてきた。
しかし、近年の状況は「どうにもならない」状況であり、一過性の事象ではなく事業環境の大きな変化であると言える。現在のサプライヤ供給力不足は、本質的、構造的な課題であり、短期間で解決できるような問題ではないという認識を、全社で共有する必要がある。そして、開発部門、製造部門、生産計画部門だけでなく、営業部門や企画部門、生産技術部門や試験部門、さらには経営企画部門なども巻き込んで、迅速な対応を進めていかなければならない。つまり、全社での課題認識共有と合意形成、方策の協力推進が必須ということだ。