スギ薬局が掲げる「トータルヘルスケア戦略」
──スギ薬局を中核とするスギホールディングスは、事業戦略として「トータルヘルスケア戦略」というものを掲げていますよね。
そうですね。人々の“ゆりかごから墓場まで”、さまざまなライフステージごとにサービスを提供して、あらゆるヘルスケアのニーズに応えるという考え方を、戦略のベースにしています。健康な人には、いつまでも健康でいられるように、病気を患っている方には、少しでも早く病気が治るように。そして介護や生活補助が必要な終末期の方には、自宅や介護施設などで最期の時まで少しでも良い生活を送れるように……。あらゆる人のライフステージに合わせた接点を用意し、つながっていくというのが、スギホールディングスの目指す姿です。
──そんなホールディングスの中心にあるのがスギ薬局であり、ドラッグストア事業かと思いますが、これも単なる小売店としての姿だけでなく、さまざまな業態がありますよね。
皆さんが最もよく目にするのが「調剤併設型ドラッグストア」の業態かと思いますが、ほかにもクリニック併設型の店舗や在宅医療も提供している店舗など、複数の機能を併せ持つ店舗を全国に展開しています。“複合型施設”のようなイメージを持っていただくと分かりやすいかもしれませんね。
──買い物、調剤、そしてクリニックまで……医療・健康に関するサービスなら何でも受けられそうですね。
もちろん、すべての店舗がそうではないですし、都内だとコンビニエンスストアくらいの小さな店舗もたくさんありますが、地方だとまるでショッピングモールの医療版とも言えるような、大型の店舗も多数展開しています。
ドラッグストア業界全体の店舗数というのは年々増加し続けており、今や日用品や食品などといった、生活に欠かせないものをドラッグストアで購入するという方もたくさんいらっしゃるでしょう。普段はそういった買い物ができて、処方箋を持っていけば調剤もしてもらえる。そして、必要とあらばクリニックで診察も受けられる。そんな機能が集約された施設が町にあれば、皆さんの暮らしにとっても非常に便利な存在となれるはずです。
──そして現在、リアルの店舗だけでなく、デジタルを活用したサービスの提供・拡充にも注力しているとお聞きしました。
おっしゃるとおり、店舗のDXだけでなく、デジタルアプリケーションによるサービスの提供も本格的に行っています。代表的なものが、お客さまの買い物を便利にする『スギ薬局アプリ』ですね。ほかにも、健康診断の結果をもとに発病リスクを分析する『生活習慣病リスクレポート』や、ライフログアプリの『スギサポ』シリーズなどがあります。
──デジタルサービスの提供を始めた理由は、やはりこれまでリアル(店舗)ではつながりを持てなかった人々との接点を創出することにあったのでしょうか。
そう思われる方も多いでしょうが、最初の目的は“新規顧客への接点創出”ではありませんでした。ですからアプリケーションの開発も、新規のお客さま向けに始まったわけではありません。