IPビジネスにおけるビジネスとクリエイションの距離
藤井:既存企業がクリエイターを組織に内包し、ときに破天荒とも言える活動を受け入れ、許容して、それが自社の価値最大化につながる時代ということなのかなと思います。そこにはこの連載や私の著作でも軸としている「意味性」がある一定の役割を果たすのではないか。意味性に関して直接、企業の方に説明すると、意外にも賛同いただけます。ただ、「これからは意味性のビジネスだ」と思いながらも実際にはあまり道筋が見えず、悩まれている方も多い。中山さんは、エンタメの世界とビジネスの世界双方での知見を持ち、エンタメをビジネスに活用する活動をされていますが、何かヒントはありますか。
中山:クリエイションというのは箱庭なんですよ。もうそれだけで完結して、ある意味外界から遮断して集中する必要がある。一方、キャラクタービジネスというのは、出来上がったキャラクターをどう展開するか、その作品の運用のためにむしろ外に開く必要がある。だから、ビジネス実装はクリエイターではなく、ビジネスが得意な人も入らないといけない。ジブリでも、宮崎駿さんがもちろん作品は作りますが、コピーや展開方法は鈴木敏夫さんですよね。クリエイターが全権握ると時間的にも思考キャパシティとしても個の限界に規定されてしまう。