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利便性と意味性から考える顧客提供価値

漫画家と編集者のマッチングサイト『DAYS NEO』にある、意味性を支援するサービス開発の未来とは?

ゲスト:株式会社講談社 第四事業局 クリエイターズラボ 部長 鈴木綾一氏

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 アフターデジタルシリーズの著者・ビービットCCO藤井保文氏は最新著『ジャーニーシフト』の中で、デジタル時代に変化する顧客への提供価値を「利便性」と「意味性」の二つの軸で整理することの有効性を説いている。この連載では、先進的なサービスの提供者や研究者をゲストに招き、「利便性」と「意味性」を軸に藤井氏と対談。これからのサービス開発のあり方を探る。1回目のゲストは、講談社のR&D部門に当たるクリエイターズラボの鈴木綾一氏。創業110余年の老舗出版社が、編集者と漫画家のマッチングサービス「DAYS NEO」など革新的なサービスを次々と生み出せている背景に迫った。

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創業110余年の老舗出版社が取り組むR&D

藤井保文氏(以下、藤井):クリエイターズラボとはどんな組織で、どんな経緯で始まったものなのですか?

鈴木綾一氏(以下、鈴木):クリエイターズラボは2021年6月に立ち上げられた、新しい部署です。R&D部門という位置付けですが、当初は漫画家と編集者をつなぐマッチングサイト『DAYS NEO』、インディーゲームクリエイターを支援する『ゲームクリエイターズラボ』、米国のクリエイター向けクラウドファンディングサイト『Kickstarter』との提携プロジェクトの三本柱でスタートしました。翌年、映像作家支援プロジェクトの『シネマクリエイターズラボ』、IP開発ラボ、メタバースラボも加わり、現在に至ります。

クリエイターズラボ
講談社「クリエイターズラボ_Mission

 僕は2006年に講談社に入社し、「週刊少年マガジン」で8年、「ヤングマガジン」で7年と一貫して漫画編集に携わってきたのですが、「ヤンマガ」編集時代の2017年ごろに、『コミックDAYS』という漫画アプリ/ウェブコミック配信サイトの立ち上げに関わることになりました。その中で、僕が新人賞の運営などに長く関わってきたという経緯もあり、『コミックDAYS』含む講談社の新人漫画家発掘を目的とした漫画投稿サイトを立ち上げてほしいと上司から要請を受けたんです。

 しかし、似たような投稿サイトはすでに世の中にありました。たとえば『pixiv(ピクシブ)』。あるいは集英社の運営するサービスで『ジャンプルーキー!』。後発の我々が看板だけすげ替えて同じことをするのでは意味がないと思いました。

 一方で、自分は漫画編集の仕事に携わる中で、かねてから「こういうサービスがあればいいのに」というアイデアを持っていました。そこで「どうせ作るのであればこういうものはどうか?」と上司に逆提案し、できたのが『DAYS NEO』というサービスです。

 最初は『DAYS NEO』の開発・運営を指揮するプロジェクトとして始まったので、しばらくは「ヤンマガ」の編集次長のまま兼務していました。ですが、その後『ゲームクリエイターズラボ』も立ち上げる中で、やるべきこと・やりたいことが増えてきたことでさすがに回らなくなり、独立した部署としてクリエイターズラボが発足した、というのが経緯です。

DAYS NEO
講談社『DAYS NEO

藤井:本の中でも取り上げさせてもらった通り、素晴らしい取り組みだと思っているのですが、読者向けに『DAYS NEO』がどんなサービスなのかを説明していただけますか?

鈴木:ひとことで言うなら、連載を目指す漫画家と商業誌編集者のマッチングサイトです。

 連載を目指す漫画家はサイトに作品をアップロードします。アップロードされた作品自体は誰でも読むことができ、ここまでは一般的な投稿サイトと変わりません。

 『DAYS NEO』がユニークなのは、編集者アカウントを持った漫画編集者だけが使える二つの機能があることです。一つは作品に対して公開メッセージを送る機能。もう一つは担当希望ボタンを押すことで「あなたを担当したいです」と手を挙げる機能。編集者はこの二つの機能を使って漫画家にアプローチします。

 漫画家側は、寄せられたメッセージはもちろん、編集者のプロフィールや、その編集者がほかのどんな作品にどんなメッセージを送っているかもすべて見ることができるので、それらの情報から総合的に判断して、オファーを受けるかどうかを決めます。

 漫画家がオファーにOKを出したらマッチング成立。マッチングした編集者に漫画家の連絡先が送られます。あとは自由に連絡をとり、連載に向けて話を進めるというのが大まかな流れです。

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この記事の著者

鈴木 陸夫(スズキ アツオ)

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