異才の支援者としての企業に必要な「箱庭」という余白
藤井:丸井グループやクラシコムはオーナー経営色が強く、その世界観を貫けているという見方もできます。3〜5年で社長が変わる大企業には同じことはできない。ゆえに社員にそれを託すというのが、大企業の道なのかもしれないです。利便性に徹すること、意味性を作る人たちを支援するプラットフォーマーになることが大企業の生きる道と思っていましたが、今日のお話で3つ目の「組織内の異才であるクリエイターを支援する」という道が見えた気がしました。
中山:ただし、それを許容できるかは産業の成熟度や、業界内でのその企業のポジションにもよるでしょうね。成熟し切った業界では、実績のない若手に対して思い切った投資はしづらい。構造上、企業経営は成熟するほど保守化しやすいんです。任天堂における宮本茂さんやジブリの宮崎駿さんはもちろんすごいクリエイターですが、じゃあ今それらの会社に入っても、すでに傑出した才能でまわすモデルが確立しているがゆえに、2人目を生み出す余裕はないでしょうね。