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セブン銀行が目指すATMのサービスプラットフォーム化──知の探索を担う専任部隊「セブン・ラボ」とは?

株式会社セブン銀行 執行役員 セブン・ラボ リーダー 兼 戦略事業部長 西井健二朗氏

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 全国に2万6,000台以上のATMを展開するセブン銀行。ATM事業を中核として、時代の変化とともに人々の日常の不便を解消するさまざまな金融サービスを生み出してきた。そんな同社が事業戦略として注力していることの1つが、2016年より始まったオープンイノベーション活動だ。すでにいくつかの成功事例も生まれている。オープンイノベーションの成果創出に悩む企業も多い中、なぜ数年のうちに数々の成功事例を実現したのか。その裏側には、外部のアイデア探索・発掘を担う専任組織「セブン・ラボ」の存在があった。今回は、オープンイノベーション成功の裏側と、セブン銀行が目指す金融サービスの姿について、執行役員 セブン・ラボ リーダー 兼 事業戦略部長の西井健二朗氏に話を伺った。

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「あったらいいな」から生まれたATMを“サービスプラットフォーム”に

──「セブン銀行といえばATM」、そんなイメージがあります。これまで生み出してきた金融サービスも、ATM事業を基盤としたものが多いですよね。

 そうですね、セブン銀行の成長を支える一番の基幹事業は、創業以来続けてきたATM事業です。「お客さまの『あったらいいな』を超えて、日常の未来を生み出し続ける。」というパーパス(存在意義)の通り、人々は日常生活の中でどのような課題を抱えているのか、どういったものを欲しがっているのか。そのニーズに対し、我々のATMがどう進化すれば、今までになかった日常を実現できるのか、といった考えに基づいてサービスや機能を生み出してきました。

株式会社セブン銀行 執行役員 セブン・ラボ リーダー 戦略事業部長 西井健二朗氏
株式会社セブン銀行 執行役員 セブン・ラボ リーダー 兼 戦略事業部長
西井健二朗氏

──預金口座の取引や決済だけでなく、今や電子マネーのチャージやマイナンバーカードでの健康保険証利用の申し込みなど多様な機能が備わっていますが、こうした「何でもできるATM」のような構想は、創業当時からあったのでしょうか。

 最初からそのような構想があったわけではありません。時代や人々の日常の変化に対応し続けてきた結果、今のような形になったという表現が正しいかと思います。

 セブン銀行自体も、最初は「セブン‐イレブンにATMがあったらいいな」という声を実現するために生まれた会社です。先ほど申し上げたパーパスの通り、お客様の「あったらいいな」に向き合い、さまざまなサービスを展開してきた結果が、今のATMの姿だと思っています。今後も、これを愚直に繰り返していくことに変わりありません。

 ATMそのものの機能だけで言えば、顔認証カメラや証明書のスキャン、ビーコンやQRを相互に読み込む機能を実装するなど、現状で考えられる機能はおおよそ積んでいると言えるでしょう。電子マネーのチャージや海外で発行されたカードでの引き出しへの対応は、今では当たり前かもしれませんが、セブン銀行では2007年から対応しています。また、スマートフォンと接続すればPayPayなどスマホ決済の現金チャージが行えます。そして銀行口座を持たずとも、電話番号やメールアドレスがあれば企業から個人への送金が可能な「ATM受取」というサービスも備えていますが、これがコロナ禍の際、イベントキャンセルによる膨大な数のチケット代の返金に便利だと、皆さんからご利用いただきました。おっしゃった通り、最近ではマイナンバーカード関連のサービスをいくつかリリースしています。

──そんなATMを、セブン銀行は「現金プラットフォーム」と称していましたよね。今後の方針として、ATM事業においてはどのような戦略を掲げているのでしょうか。

 今後は現金プラットフォームから、行政サービスや医療サービス、ATMでの本人認証などに対応する「サービスプラットフォーム」へと進化させていく方針です。人々の生活がキャッシュレスへと移行しつつありますから、現金のビジネスはどうしても減っていくことになるでしょう。

[画像クリックで拡大表示]

 さらに、事業を多角化しビジネス領域を拡大していきます。たとえばBtoCの銀行事業については、セブン&アイ・ホールディングスの顧客基盤と連携し、ユニークな金融サービスを創っていくことに取り組んでいます。法人向け領域では、他の銀行などと競合するのではなく、セブン銀行の強みを活かした独自のサービスを提供していきたいと考えています。

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ワダ スミエ(ワダ スミエ)

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