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ミツカングループの祖業の精神が宿る「両利きの経営」──D2C事業が生んだ、R&D起点の顧客共創とは?

ゲスト:株式会社ZENB JAPAN 代表取締役社長 濱名誠久氏

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 皮や芯、種などを含め、植物を可能な限り全部使用することで、人と社会と地球の健康に貢献し、ウェルビーイングな食生活を提案する食品ブランド「ZENB」。ミツカングループの一法人として「ZENB JAPAN(ゼンブ・ジャパン)」を立ち上げ、開発販売を手掛けている。グループ初のD2C事業を行い、さまざまなデジタルでの仕掛けも積極的に行っている。この事業はどんな経緯で立ち上がったのか。どんな体制で事業を行ってきたのか。ZENBの取り組みを通してミツカングループにどんな効果がもたらされているのか。両利きの経営の観点から、ZENB JAPAN社長の濱名誠久氏に編集部が聞いた。

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祖業から受け継がれる、食文化の変革者精神

──「ZENB」ブランド立ち上げの経緯を教えてください。

 2019年からの中期経営計画を考えるにあたり、当時のホールディングス会長であった中埜(中埜和英氏)から、これからの10年の環境変化とステークホルダーの変化を見据えた新規事業を作るようにと指示を受けました。考え始めたのは2017年春です。この取り組みは次期経営陣育成の要素があったようで、私を含め現在、役員をやっている8名、最年長は当時40代後半という比較的若いメンバーが担当しました。

 ただ10年後を予測しようといっても、環境変化も大きいことから具体的には思い描けません。そこで環境や規制の変化、SDGsに関して海外でNPOの活動に関わっておられる方や大学の先生、3Dプリンターで食をデザインしようとしているスタートアップの方、デジタル化・人口動態の変化・地球環境の変化などの専門家に、中経の策定を主に担当するメンバーが直接話をお聞きしました。当時は今ほどSDGs、サステナビリティに関心が集まってはいませんでしたが、ヒアリングの結果、人口爆発や水不足、食糧危機などの課題が見えてきました。

 そのヒアリングと並行して、ミツカングループの歴史を紐解く活動もしていました。ミツカンは1804年の創業ですが、創業者は酒造家の生まれで、当時主流だった米から作る高価な酢ではなく、使わずに捨てられていた酒粕から酢を醸造することに成功して独立したのが始まりです。酒と酢は菌が異なり、酢作りをするのは酒をダメにしてしまう可能性があるので酒造家にとってはご法度だったのですが、果敢に取り組んだのです。

 えらく振りかぶった言い方に聞こえるかもしれませんが、そういった我々のルーツも理解しながら未来につなげる取り組みができないかと議論しました。

──そこからどのように「ZENB」ブランド立ち上げへとつながるのでしょうか。

 同時に自社の持つ技術の棚卸しをしてみました。すると、豆や野菜などの植物の皮や芯、種など普段捨てている部分を技術でおいしくすることができたら、今までの「食」の在り方とは違う、新しい「食」の生活を提案ができるんじゃないかと気づきました。それで盛り上がって立ち上がったのがZENBです。

 ZENBとはそもそも商品開発を目的にしたものではなく、ZENB initiative(イニシアチブ)という取り組みなんです。そのなかで、①我々はメーカーなので取り組みの一環として「ZENB」というブランドで食品を作って具体的な提案をしていき、②食べ物の持つ「力を引き出す」ための技術を開発することで、健康や環境にも配慮した食生活を提案し、③いろんな方に仲間になってもらいながら進める、という3つを方針として掲げています。

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この記事の著者

フェリックス清香(フェリックスサヤカ)

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