人的資本開示“元年”となった2023年
人材を企業の資本と捉える「人的資本」に関して、2023年の最も大きなトピックと言えるのが「人的資本の開示義務化」でしょう。2023年3月期の有価証券報告書から、人的資本を含むサステナビリティ情報を記載することが義務付けられました。
具体的には、有価証券報告書の「従業員の状況」に、「女性管理職比率」「男性の育児休業取得率」「男女間賃金格差」の記載が義務付けられました。また、「サステナビリティに関する考え方及び取組」の項目に、「人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針」と「社内環境整備に関する方針」を記載することに加え、それらの方針に関する「指標及び目標」の記載が求められています。
一般的に開示が望ましいとされている人的資本情報は、内閣官房が『人的資本可視化指針』で示している19項目です。
実際、今年開示された人的資本情報を見渡してみても、この19項目を意識している企業が多いことが分かります。
当社では、数ある人的資本の基盤になる指標として、19項目の中でも特に従業員の「エンゲージメント」を重視しています。当社が行った調査では、3月期から5月期の決算企業2,700社のうち、591社が有価証券報告書にエンゲージメントに関する記載をしていることが分かりました。これは2022年以前には見られなかった傾向であり、エンゲージメントに限らず、人的資本情報を積極的に開示していこうという気運の高まりが感じられます。