A.T. カーニーは2026年8月18日、論考「CFOにとって調達に潜む大きな機会」を発表した。本論考では、従来のコスト管理にとどまらず、調達を企業成長やイノベーション創出の中核へとシフトさせる必要性を訴えている。
調査によると、多くの製造業企業では外部調達支出が売上高の約65%を占め、サービス業でも約30%に達している。しかしながら、調達を戦略的機能と捉えるCFOは全体の3人に1人にとどまり、5人に4人のCFOが自社の調達チームを高く評価する一方で、その戦略的インパクトは十分に認識されていない現状が明らかとなった。
CFOが最優先事項とするのは「成長」で、回答者の72%がこれを重視している。イノベーションやAI変革、コスト削減、ESGも重要視されているが、調達部門は依然としてコスト管理中心の役割とみなされる場合が多い。このような機能定義のギャップが、調達の持つ成長や変革への貢献を制限している。
KEARNEYは、サプライヤーを起点としたイノベーションの推進、市場投入までのスピードアップ、テクノロジー活用に関する先見性など、調達と企業成長アジェンダの接続を提案する。先進的な企業では、調達を四半期ごと見直しの範囲にとどめず、事業計画と直接結び付けた長期戦略の一部として位置づける事例が確認されている。こうした企業では、新製品や新機能をサプライヤーと共同開発し、AIを活用した分析や意思決定力の強化を図っている。
本論考は、調達機能の戦略的価値を引き出すための三つのアクションを提示している。ひとつ目は、調達の価値をコスト削減や効率性だけでなく、売上成長や市場投入の迅速化、リスク低減といった観点で評価すること。二つ目は、調達と財務との言語ギャップを埋め、資本配分やROIなど経営指標と直結させること。三つ目は、ソーシング・パイプラインを事業計画へ統合し、シナリオ・モデリングに活用することで競争上の優位を確保することである。
調達は企業の大規模な外部支出を担いながら、戦略的ポジションが十分に活用されていない。このギャップを解消するため、調達をコストセンターではなく成長・イノベーションのエンジンと再定義し、サプライチェーンから得られる知見を競争優位へ転換することが急務であるとまとめている。
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