リクルートマネジメントソリューションズは2026年8月24日、日経BPとの共同による「ジョブ型人事制度の運用実態調査」の分析結果を発表した。本調査は、職務・役割型の等級制度を一部でも導入している従業員規模300名以上の日本企業の人事担当者を対象として実施された。調査ではジョブ型人事制度の導入・運用の実態と、成果実感の差を生み出す要因の分析を目的とした。
調査によると、ジョブ型導入企業のうち約2割は「制度導入による成果を実感できていない」と回答した。導入目的として最も多かったのは「成果による処遇のメリハリ」で53.9%。次いで「年功的な賃金からの脱却」「採用力強化」など、多様な目的が挙げられた。一方で特に「採用力強化」「キャリア自律の促進」を目的とした場合、成果への実感の有無に大きな差は見られなかった。
制度の設計では、等級軸―職能・職務・役割―を複数組み合わせている企業のほうが、単一軸の企業よりも成果実感が高い傾向にあった。例えば「キャリア自律の促進」目的では、2軸・3軸の組み合わせが成果肯定群の割合を大きく押し上げている。
取り組みの詳細をみると、「職務評価による職務等級格付け」や「キャリア研修」「管理職の評価力向上研修」といった施策の実施率が高い。一方、「退職勧奨」「異動後のサポート」など運用の負荷が高い施策は実施率が低い傾向が出ている。また、導入施策数が多い企業ほど成果実感の割合も上昇し、7つ以上の施策を実施している企業では約7割が成果を実感している。
一方で、運用上の障壁として最も多かったのは「人事部の人員不足」(34.3%)と「管理職の知識・能力不足」(29.4%)で、制度設計それ自体よりも“動かす人と組織”の体制が成果を左右していることが浮き彫りとなった。管理職への権限移譲や能力開発が十分に進んでいない現場も多く、「制度はあるが動かせない」という課題が目立つ。
今後の施策意向としては、スキル評価や360度評価といった「人材の見える化」分野への注目が高まっている。一方で、職務記述書作成など定義・基準に係る施策は廃止を検討する企業が増えつつあり、多くの企業が「職務を定義する段階」から「人材の適性・スキルを可視化し配置する段階」への移行を志向している。
本調査は、ジョブ型人事制度の成否が「制度導入」より「運用の質」に大きく依存している現実を明らかにした。経営企画や人事部門にとっては、制度運用を担う人と組織の能力強化が今後の最重要課題となりそうだ。
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