京セラは2026年11月2日、2027年3月期の上期(第2四半期累計)決算概要を発表した。売上高はAIデータセンター向け部品などの需要拡大が牽引し、前年同期比8.8%増の1兆783億円と過去最高を更新した。営業利益は減損などの大口一時損失を計上したものの、部品の増販益や収益性改善が上回り、656億円(同56.4%増)と大幅な増益を達成した。好調な需要進捗を背景に通期の売上高予想を上方修正したほか、中間配当を28円(前年同期比3円増配)とし、年間配当予想も前期比4円増となる1株当たり56円への増配を公表した。
上期のセグメント別売上高では、AIデータセンター向け半導体パッケージや半導体製造装置向けファインセラミック部品が好調に推移した「コアコンポーネント」が3,682億円(前年同期比19.7%増)と力強く伸長した。また、小型高容量MLCC(積層セラミックコンデンサ)やタンタルコンデンサの販売がAIデータセンター向けに拡大した「電子部品」も2,153億円(同23.2%増)と大幅な伸びを示した。一方、「ソリューション」は情報機器や機械工具などの既存事業が堅調だったものの、前第4四半期に実施した米国機械工具子会社の譲渡影響(約707億円減)により、5,038億円(同2.9%減)となった。
上期の事業利益・各段階利益については、「コアコンポーネント」が高付加価値製品の増収効果や有機材料事業の生産性向上により505億円(前年同期比68.1%増)と大幅伸長。「電子部品」も収益性改善や技術支援に伴う生産性向上により196億円(前年同期は17百万円)へと急回復した。「ソリューション」も既存事業の収益性改善等により570億円(同50.9%増)となった。なお、全体ではGaN(窒化ガリウム)デバイス事業の減損損失(約▲295億円)やエネルギー関連製品の引当金(約▲76億円)など一時損失約▲341億円(ネット後)を計上したものの、税引前利益は930億円(同36.9%増)、親会社株主に帰属する中間利益は734億円(同32.2%増)を確保した。
トピックスとしては、先端半導体分野を中心とした成長基盤の強化を推進している。2026年9月には長崎諫早工場の第1工場が竣工(2028年3月期までに約680億円を投資予定)し、半導体製造装置用部品や半導体セラミックパッケージの生産に向けて2027年春より本格稼働を予定する。さらに、切削工具などに不可欠な炭化タングステンの再資源化に向け、独自技術「アミノ酸短縮工法」を用いたリサイクルシステム構築を推進。経済産業省より「重要鉱物の安定供給確保に向けた供給確保計画」として認定を受け、2031年3月期からの製錬設備稼働を目指す。また、ポートフォリオ見直しの一環としてケミカル事業の譲渡(譲渡先:住友ベークライト、一時利益約+150億円)も決定している。
2027年3月期の通期連結業績予想は、足元の旺盛な部品需要を反映し、売上高を従来予想(7月公表)比+400億円となる2兆1,200億円(前期比2.4%増)へ上方修正し、過去最高を見込む。各段階利益については、上期の一時損失を各事業の増益とケミカル事業の譲渡益等でカバーする見通しから、営業利益1,600億円(前期比35.4%増)、親会社株主に帰属する当期利益1,600億円(同13.5%増)の従来予想を据え置いた。年間配当は前期比4円増となる56円を予定するほか、配当指標として「DOE(株主資本配当率)」および「累進配当」を今期より導入している。
【関連記事】
・パナソニックHD、2026年度第2四半期累計は増収大幅増益 通期予想を上方修正し年間配当70円へ増配
・デンソー、2027年3月期第2四半期累計は増収減益 通期予想は据え置き最大2,000億円の自己株取得
・JT、2026年度第3四半期累計は大幅な増収増益 通期業績予想を上方修正、過去最高を更新する見通し
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-




