【失敗事例1】独自路線をいくデジタルイノベーション部門
運輸企業のA社では、デジタル変革を目指してCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)を設置し、デジタルイノベーション部門を設置しました。その部門では、人材とテクノロジーを融合させてDXを推進し、新しい顧客体験と社員体験の創出に取り組んでおり、たとえばMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)やドローンなどといった新たな移動手段やサービスの開発を、3ヵ月を1タームとした「アイデア出し→開発→テスト」のサイクルで繰り返し行っていました。
しかし、具体的なビジョンや目標が不明確であったため、事業部門や現場社員から理解や協力を得ることができませんでした。その結果、何年経っても商業化に至らず、収益にも貢献しなかったため、経営層からの評価が低く、最終的にデジタルイノベーション部門は解体となってしまいました。
【失敗事例2】デジタル変革推進室を新設したのに進まなかったDX
社会インフラ事業を手掛けるB社は、社会ニーズの変化に応えていくことも視野に入れデジタル変革を目指していました。そして、専門チームとして「デジタル変革推進室」を設置しました。
デジタル変革推進室は、デジタル活用が遅れている現場組織にデジタル技術を取り入れ、より利便性の高いサービスを提供しようと検討推進していきました。DXのビジョンや戦略、ロードマップなど、デジタル変革には目指すべき姿が必要だと、目的や実現までの具体的な計画も策定していきました。
しかし、この企業は社会インフラを担っていることもあり、変革や新しい技術による更新に対する慎重論が組織の大部分を占めていました。推進しようとしては、事業部門やそこを管掌する役員に阻まれ、経営層のコミットメントを得ることができませんでした。その結果、デジタル変革推進室のリーダーが退任してしまい、組織としても何も進まないまま解体となってしまいました。