“客観性を担保した観察の記録”ですべきこと
客観性を担保して観察の記録を行う最初の一歩として、ユーザーが「何を(what)」「どのように(how)」しているのか、それぞれ分解して書くようにする。以下の手順で記録をとろう。
1) 「何」をしているか
2) 「どのように」しているか
簡単な例がある。あるファーストフードのサービス・デザインを4名のチームで行おうとした際、メンバーの1人は入り口周辺のユーザー行動に着目した。男性がドアを空けて入ってきた時の様子を記録したメモは、以下の様な内容だった。
1) 「何を」:男性が、荷物を持ちながら、ドアを引いて開けている。
2) 「どのように」: 荷物を持ち替えながら、手間取りつつドアを開けている。
なお、現場での調査を終えた後は、上記の2つの項目についてチームで共有を行ったうえで、その次のステップである「なぜそのようにユーザーは行動したのか?(why)」と考え、推測で解釈を加えていく。たとえば次のような形になる。
3)「なぜ」:男性は、ドアを引くのではなく押して入りたいと思っている
そもそも観察は“新しい発見”をするために行うが、最初から「イノベーションにつながる素晴らしい発見」が得られることはない。地道に観察を繰り返すことで経験が蓄積される。そのなかで「そういえば、なぜいつも多くのユーザーが〇〇という行動を取るのだろうか?」といった「疑問」や「矛盾」が見えてくるようになる。
観察自体は、その対象を絞ってしまえば10分程度である程度の気づきを得ることができる。可能であれば、身近な人と3、4人で添付のワークシートを利用し、観察体験をやってみることをおすすめする。
そして、より本格的な観察を行うのであれば、記録方法について、いくつか注意したい点がある。