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NTT西日本の共創の場「QUINTBRIDGE」で始まる日本のオープンイノベーション3.0

【前編】ゲスト:西日本電信電話株式会社 代表取締役社長/社長執行役員 北村亮太氏

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 本連載ではJapan Innovation Network(JIN)の理事・アドバイザーをナビゲーターに、大企業において「システマティックなイノベーション」の創出に取り組むキーパーソンとの対談をお届けする。本記事では、NTT西日本の代表取締役社長である北村亮太氏に同社のオープンイノベーションについて聞いた。対談の場所に選ばれたのは、2022年に開設されたオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)」。NTT西日本はこの場を拠点に、どのようなイノベーションを構想しているのか。聞き手であるJIN代表理事の紺野登氏が迫った。

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オープンイノベーション拠点「QUINTBRIDGE」開設の狙い

紺野登氏(以下、敬称略):本日は2022年に開設したNTT西日本のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)」をお訪ねし、同社のイノベーション経営について、北村亮太社長にお伺いしたいと思います。

 北村さんは2024年4月にNTT西日本の社長に就任されたばかりですが、なんでも就任後には西日本30府県のすべての支店を自ら訪問されたとか。

北村亮太氏(以下、敬称略):就任会見で口にしましたので、もちろん約束を守らないといけませんので。4ヶ月ほど要したのですが、西日本30府県のすべての支店を回り、現地の社員たちと膝を突き合わせて対話をしてきました。

 もともと私は経営企画での仕事が長かったのですが、当時から現場が好きだったこともあって、支店で今何が起きているかには常にアンテナを張ってきました。社長としても、現場の力を最大限引き出すことに意識しながら経営の舵取りをしていくつもりです。

紺野:本日は「オープンイノベーション3.0」をテーマにお話を伺いたいと思います。オープンイノベーション3.0とは、いわば「都市や特定の地域に基づくオープンイノベーション」です。オープンイノベーション(1.0)は、2000年ごろからアメリカを中心に広がった1対1の異なる企業間の知財などを互いに活用する戦略です。続いて欧州から生まれたオープンイノベーション2.0は、ユーザーを軸に、企業、大学や行政など複数のステークホルダーが関与した共創活動を指します。

 そして、リアルやバーチャルを問わず、大目的をもとに、特定の場や地域にステークホルダーが集い、より実質的なイノベーションが生み出されるようなエコシステム(有機的な関係性)を形成するのが、オープンイノベーション3.0といえます。1.0や2.0と異なり、あらかじめ特定のエリア内に人材が集まっているので、例えばピッチイベントなどを開催するなど、意図的に創発の機会を作る必要がありません。

オープンイノベーション3.0
資料提供:一般社団法人Japan Innovation Network代表理事 紺野登氏/クリックすると拡大します

 ここの、地域社会に根付くオープンイノベーション3.0を形成する日本での試みとして、QUINTBRIDGEは注目すべき場だと思います。大阪・京橋という、産官学から多様な人材が集合できるポテンシャルの高い立地とソフト面でのサポートによって、イノベーション活動の輪が広がっているようです。無料会員登録も魅力です。そこで、まずはQUINTBRIDGEの設立に至る経緯をお聞かせいただけますか。

北村:NTT西日本は2021年に、「『つなぐ』その先に『ひらく』 あたらしい世界のトビラを」というパーパスを制定しました。ここには、長年、地域に根付いた事業を手がけてきた企業として、持続可能な社会づくりと持続可能な事業と組織の成長を両立したいという思いが込められています。

 というのも、皆さんもご存知のとおり、NTT西日本が手がけてきた既存の通信事業はすでに成熟しており、飛躍的な成長を望むのは難しいです。もちろん、社会のインフラを守るためにも今後も通信事業は手がけていきますが、それを基盤に新たな価値を創造しなければいけません。

 そのうえで何が必要かと考えたときに、たどり着いたのが「共創の場」でした。現在、NTTグループでは、高速大容量通信並びに膨大な計算リソースが提供可能な情報基盤を構築する「IOWN構想」に取り組んでいますが、巨大なプラットフォーム上でイノベーションを生み出すには、多様なパートナーと共創する必要があります。IOWNは一つの例ですが、社会や企業、お客様たちと交わり、新たな価値を生み出す拠点としてQUINTBRIDGEを開設しました。

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

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