特許価値分析サービス事例2:特許から専業度を測定し、連携先候補を発見する
2つめの事例については、バイオケミカル分野の大企業であり、特許分析から当該分野の出資先を中心に、潜在的な連携・競合先を把握したいと考えていた。
そこで、特許件数・特許価値が上位の企業だけでなく、関連分野に特許を持つ全ての企業から選定することを目的とした。アウトプットとしては、シンプルに潜在的な連携先のリストを提出。ここで必要なのは、徹底して「俯瞰して見ること」であり、目的に対応した特許価値の上位の会社について、横軸を特許件数、縦軸を1件当たりの特許平均価値とするバブルチャート(左)で示した。
さらに右図では各社が保有する特許のうちバイオケミカル分野の割合を横軸とし、専業度の高い企業群を可視化。ここに多くの企業をマッピングすることで、規模が小さくても専業度が高い会社を見つけ出し、連携先の候補とすることも有り得るだろう。
さらに保有特許に占める当該分野の技術割合が5%以上の会社を30社ほどピックアップ。今後の競争優位を保つために特に重視している分野を「Caa」(オレンジの破線部分)としてみていくと、潜在的な競合を探索することができる。これによると、重視する分野では保有特許の上位にいる企業ではなく、むしろF社であることが明らかとなった。今後は、この会社が持つポートフォリオを分析するという流れになる。
特許価値分析サービス事例3:特許の引用から潜在的な競合を発見する
他の競合の探索の方法について、3つ目の事例で紹介された。ある自動車部品メーカーでは、同社が持つ特許を先行技術として引用する企業ごとに、引用率を横軸、平均特許価値を縦軸にマッピングした。すると同社の特許の引用率が高く、平均特許価値も高い米国のスタートアップの存在を発見。この会社は競合である外資企業から出資をうけ、競合分野で製品開発を行っていることが判明し、潜在的な脅威として気づきに至った。
こうした特許分析の使い方として、佐無田氏は「バックキャストで考えることが大切」と語る。そして、「知財自体は全社戦略を支える1つである。特許のデータは過去データであり、客観的に現状を把握し、理想に向けて課題を克服するかを考えることがまさに『戦略ストーリー』になる。万能ツールではなくとも他の情報の補完や企業の目的に応じた使い方をすることで、戦略構築のために優良なツールになりうる」と強調した。