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競争優位性を構築する組織カルチャー変革

「マネジメントチームの現地化」と「ビジョンプロジェクトの事業成果」大澤氏が語るマレーシア味の素の未来

ゲスト:マレーシア味の素 大澤理一郎氏(後編)

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社会課題が「自律的に考え、行動する文化」の定着につながる

宮森:製品を通じて社会課題に向き合う。それがビジョンとリンクしているのですね。

大澤:はい。このプロセスの中で、担当者たちが「自分たちがやるべきこと」を見出し始めました。製品が単なる売上目標だけでなく、社会に価値を提供する存在であると気づいた瞬間、メンバーの目の色が変わりました。こうした一連の取り組みが、組織全体に「自律的に考え、行動する文化」を定着させるきっかけになればと考えています。

 ちなみに、先日初めて、低所得者層の団地で開催されたプロモーションイベントに参加しました。マーケティングチームから「ぜひ来てほしい」と声をかけられて赴いたのですが、その現場での経験は私にとって重要なものでした。

 団地には多くの子どもたちが住んでおり、多くの家庭では携帯は持っていても、家にWi-Fiがないなど、経済的に厳しい生活環境が広がっていました。このような状況の中で、「Seri-Aji」という製品がどれほどの価値を持ち、生活を支えているのかを肌で感じられたんです。

 さらに驚いたのは、この製品がマレーシア行政による貧困家庭支援のクーポン対象商品に指定されていたことです。この事実を含め、製品がどのように使われ、どんな支持を得ているのか、現場から学ぶことが非常に多かったです。

宮森:マーケティングチームの方から大澤さんに声をかけたというのも、ビジョンプロジェクトを通じて「考えろ」と問い続けてこられた成果ではないかと感じます。普通、そういうイベントに社長を呼ぶことは難しいと思いますが、大澤さんなら来てくれると、社員が感じられたからこそ、行動できたのではないでしょうか。

大澤:そうかもしれないですね。実際に行ってみたら、現場の皆が驚いていました。「こういう企画があれば、いつでも呼んでほしい。必ず行くから」と伝えていますが、社員からすると少し戸惑っているかもしれません。それでも、この製品がつい最近まで終売の議論がされていたとは思えないほど、今では「どうすれば、製品を通して、さらに社会に貢献できるか」を、会社全体で本気で考え直すフェーズに入っています。

宮森:現場での気づきや発見が、社員の行動や会社全体の考え方に良い影響を与えているのですね。

大澤:はい。このような現場の活動を積み重ねていく中で、「Seri-Aji」が会社を支えるセカンドブランドとして成長する可能性すら見えてくるかもしれません。数年後には、事業構造が少しずつ変化し、会社のマインドセットそのものにも大きな変化をもたらすと信じ、注力するプロジェクトです。

宮森:社員が現場での経験を通じて自ら考え、動き出す。味の素マレーシアが生み出すこの文化が、世界中に広がっていく未来を期待せずにはいられません。本日は心の奥底から元気が湧いてくるお話をありがとうございました。

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この記事の著者

皆本 類(ミナモト ルイ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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