構造的無能化のメカニズムを脱するためにやめるべきこと
各自が自分の職務に真面目に取り組む結果、組織全体としては無能に陥っているという状態こそが組織の慢性疾患状態であり、これをいかに変革するかが『企業変革のジレンマ』で扱う課題である。組織が慢性疾患状態を脱するのが難しい理由を、宇田川氏は「構造的無能化」のメカニズムで説明する。

事業が成功して組織が成長する過程では、拠点を増やしたり機能別のチームを作ったりするなどして組織内の分業化が進む。上手くいくやり方が共有されてルーティン化も進む。これ自体は必要なことだが、その代償として起きるのが「断片化」の問題だ。範囲の限定された仕事を同じ仕方で繰り返すことにより、各々の視野が狭くなっていくのだ。