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経営変革の「思想」と「実装」

なぜLIXILは「構造的無能化」に陥らなかったのか──変革支援者の存在、顧客視点での断片化の回避とは

ゲスト:株式会社LIXIL 安井卓氏、芦村学氏 クアルトリクス合同会社 増田泰彦氏【後編】

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企業が「慢性疾患」を乗り越えるために大切なこと

宇田川:最後に、芦村さんと安井さんから、読者の方にメッセージをいただけますか。

宇田川元一
埼玉大学経済経営系大学院 准教授 宇田川元一氏

芦村:大きな組織であれば、まずは理解者を作り、そこから裾野を広げていくことではないでしょうか。私たちとしても、毎週Workplace上にCXに関する情報を発信してCXのことを考えてもらう機会をつくるなど、従業員がCXの価値を理解し、動機づけになり、本当にやってみようと思えるような地道な工夫を積み重ねてきました。

安井:私も、急ぎすぎずに地道に繰り返しやっていくということがとても大事だと思います。特に組織の慢性疾患みたいな状態に対しては、急ぎすぎるとかえって悪化することもありますし、すぐに結果が出なかったとしても、取り組んでいれば変化の兆しは見えてくるんですよね。

 例えば、私はすごくたくさんの従業員と1on1をやっていますが、その中で「こんなことがありました」と言ってくれることがあって、それに対して「すごく良かったね」と心から言ってあげることが大事だと思うんです。その裏にはまだたくさん課題があったとしても、できたところを認める。そうすると相手は「これで良かったんだ」と感じて、より主体的に動いてくれるようになります。こういうことを積み重ねてきた結果、1年前や2年前と比べるとだいぶ変わったなと思います。そういう変化を意識しながら続けていくことでしょうね。

宇田川:外から見ると大変革が進んでいるように見えるLIXILさんなので、「急ぎすぎない」とか「地道に」という言葉にギャップを感じる方もいるかもしれません。

 「これをやったら、こう変わります」とか「これでDXが進みます」みたいな何か分かりやすい答えはなくて、さまざまなレイヤーでさまざまな取り組みをして、それがちゃんと機能するように実践を積み重ねる、そんな地道なことをやり続けるしかないんですよね。そうすることで、結果的には組織も成長するし、戦略も実行されるようになる。LIXILさんの経営陣はそれを着実に進めて、変革に取り組まれていると感じました。本当に興味深いお話を、ありがとうございました。

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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