量子産業が「基礎研究で勝ち、ビジネスで負ける」を回避するには
寺部:他国と比べた際、日本の量子分野における強みと弱みをどのように分析されていますか。
佐藤:日本の最大の強みは、量子分野の基礎研究で長年世界のトップランナーであり続けてきたことです。たとえば、量子アニーリングの理論を世界で初めて提案した西森秀稔氏や、超伝導量子ビット素子の原理を発見した理化学研究所の中村泰信氏など、世界的な功績を挙げた研究者が数多くいます。こうした「知の基盤」における優位性を維持・強化することが、まず重要です。その中核を担うのが文部科学省であり、理化学研究所のような国立研究機関(いわゆるナショナル・ラボ)です。