社内コミュニティの効果を示すKPI設定の極意
──心的資本経営では「従業員体験の向上を顧客ロイヤルティの向上やお店の繁盛につなげる」とのことですが、どのようにしてそれらの相関を測っていますか?
南雲:2025年9月に、従業員の幸福度を可視化する独自指標「ハピネススコア」を導入しました。

南雲:生成AIを活用した音声対話型のソリューションで従業員にインタビューを行い、ヒアリングした内容を基にハピネススコアを算出しています。その上で、データサイエンスの会社と協力しながらハピネススコアと感動スコア、そして業績の相関関係・因果関係を明らかにしています。
──社内コミュニティの効果は定量化が難しい印象です。トリドールほどデータサイエンスが進んでいない企業の場合、どのようなKPIを設定すれば良いのでしょうか?
黒田:「社内コミュニティの盛り上がり」と「成果への貢献」という二つの観点でKPIを設定することをおすすめします。成果に目を向けすぎるとコミュニティが機能不全に陥ってしまうため、まずはアクティブ率や投稿数などの指標を用いて「盛り上がっているかどうか」を測ることが大切です。
「盛り上がってはいるけど成果にはつながっていない」という理由で、社内コミュニティへの投資を切られたり人員を削減されたりするケースもあります。そうならないためにも、従業員のエンゲージメントを測るeNPS(Employee Net Promoter Score)や、ビジョンの浸透率などをKPIに設定し、成果への貢献を示す姿勢も不可欠です。
ただ、社内コミュニティの運営を開始した直後の段階では、どちらのKPIも達成に至りにくい場合があります。その際は象徴的なエピソードを拾い上げて「従業員のモチベーションが上がっています」など、定性的な成果を示すことが有効です。
土を耕すつもりで取り組むべし
──社内コミュニティの運用における展望をお話しください。
上岡:ハピ→カン!コミュニティの参加者を招いたリアルイベントを開催したいです。より強固な結びつきを創出し、そこで生まれた新しいつながりを自店舗に持ち帰っていただきたいと思います。
成宮:全従業員にハピカンを浸透させるとともに、ハピカンの浸透が従業員のエンゲージメントや売上の向上に寄与することを証明します。当社は海外でも事業を展開しているため、コミュニティの輪をゆくゆくはグローバルにも広げたいです。
髙原:コミューンのプラットフォームやサービスをアップデートしながら、心的資本経営の実現に貢献したいです。成宮さんと上岡さんのご尽力もあり、コミュニティの盛り上がりを創出できている手応えはあります。一方で、その盛り上がりを可視化したり、価値に変えたりする部分には伸びしろを感じているため、引き続き注力する考えです。
──社内コミュニティの活用を検討している読者に向けて、背中を押すようなメッセージをいただけますか?
南雲:社内コミュニティの活用においては、目的の設定が最も重要だと思います。我々は「内発的動機に火を灯す」という目的の下、社内コミュニティという手段を選びました。目的に応じて最適な手段は変わりますから、まずは目的を明確にすることが大切です。
目的が明確になると、協力を仰ぐべきパートナー企業や導入すべきツールの要件も自ずと見えてきます。どの業種においても、企業で人が働く以上は社内コミュニティに取り組む意義を見出せるはずです。当社のように店舗を構えるビジネスモデルの場合はなおさら、取り組めば業績は確実に上がります。
黒田:企業が成果を出すためには、カルチャーという名の“土壌”が不可欠です。社内コミュニティの運営は、土壌づくりに言い換えることができると思います。土を耕す営みは時間を要しますが、土壌が整えば何を撒いても芽が出ます。社内コミュニティの運営をコストではなく投資と捉え、腰を据えて取り組んでいただきたいですね。
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