2026年3月9日、EY Japanは「EY-Parthenon CEO Outlook調査 2026年1月期」の結果を発表した。本調査は、世界21カ国・地域の主要企業のCEO 1,200人を対象に、経営環境や成長戦略に関する意識を定量的に分析したものである。
世界経済に対する不透明感が強まる中、CEOの多くは自社の業績成長に自信を持ち続けている。調査によれば、90%のCEOが2026年に売上成長と収益性の改善を見込んでおり、日本企業のCEOも約70%が収益性向上を予想している。川口宏 EY-Parthenonリーダーも、日本企業が国内市場の成長制約を背景に海外展開や価格戦略による収益力向上を推進している点を指摘する。
変革においては、AIの活用が注目されている。2026年は、AIが試行段階から全社規模での本格運用へ展開する転換点になると見込まれている。AIがビジネスモデルや業務の根本的な変革をもたらすと認識するCEOは55%、大幅な改善につながると考えるCEOは33%で、ともに8割以上がAIに大きな期待を寄せている。一方で、AI運用は現場の試行に留まるケースが多く、経営レベルでの迅速な意思決定が今後の課題である。
またM&A(合併・買収)や戦略的アライアンスは、企業変革を加速させる主要な手段として位置付けられている。調査対象の79%が合弁事業やアライアンスによる成長戦略を計画しており、2025年時点(62%)から関心がさらに高まった。特に、資本効率と収益性への評価基準が厳しくなる中で、企業は強みへ資本を集中しつつ、リスクや投資を分散できるアライアンス戦略へのシフトを強めている。
調査では、2026年の最優先課題として業務の最適化や生産性向上を挙げるCEOが増加傾向にある。AI投資についても、58%が2年以内にAIが主要な成長エンジンになると回答し、32%が全社規模のAI導入により業務の根本的な変化を予想している。すでに52%のCEOは抜本的な事業変革に着手済みで、45%は年内の着手を計画している。
一方で、AI活用で期待を大きく上回る成果を上げた企業は全体の20%にとどまっている。AI推進には新たなスキルや専門人材の獲得が課題であり、今後の人材戦略と育成が重要な論点となる。また、AI投資が直ちに人員削減を伴うと考えるCEOの割合は減少しており、多くの企業でAI活用と人材活用の両立が模索されている。
M&A戦略の見直しも進んでおり、CEOの53%が今後12カ月以内にデジタル化や成長加速を目的とする買収を計画、投資先は米国、カナダ、ドイツ、英国、インドなど分散傾向が強まっている。今後は資本配分の柔軟性とテクノロジー主導のM&Aが競争力の鍵となる見通しだ。
本調査結果は、経営企画部門にとってAI活用、M&A戦略、ビジネスモデル改革の3点が今後の競争優位を握る重要テーマであり、資本効率向上と変革スピードの両立が求められる経営環境を示している。
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