「研修を受けて終わり」にしないための工夫
──自社に合った支援パートナーの見つけ方が知りたいです。
中村:目指すゴールを明確にすることが重要な気がします。当社の場合は「DX企画人材を3年間で150名創出する」というゴールがあり、そこに至るまでの道筋を自社ではうまく描けなかったため、その点をしっかりとヒアリングした上で提案してくれるパートナーを探すと良いのではないでしょうか。

──研修を企画したのに参加者の学びがビジネスに結び付かないケースもある中、御社ではどのような工夫をしていますか?
中村:研修を受けて終わりにならないよう、創出した企画の実現に向けた環境整備を進めています。具体的には、各事業会社のデジタル部門のメンバーと会議体を設定して役員層に報告し、各社で推進判断を検討する場を整備しました。
研修は期間が決まっているため、期間内に企画を詰めきれない場合もあります。研修が終わった後も各事業会社を巻き込んだ体制を整備し、企画推進を検討してもらえるようにすることで、各事業会社のDXに貢献する狙いです。
南部:各事業会社が推進するDXに、研修で学んだ内容を組み込んでもらう。そのサイクルを作れている手応えがあります。これまでは各社のデジタル部門に任せていたため、グループ全体でサイクルを動かす流れが生まれたことは非常に大きいです。

──実際にどのような企画が形になっていますか?
中村:「AI搭載ドライブレコーダー」の企画をご紹介します。佐川急便では映像検証業務を実施しています。ドライブレコーダーの映像を確認し、不安全行動が発生していないかをチェック/評価や指導を行う業務です。この業務において、録画データの確認に時間を要していましたが、ドライブレコーダーにAI機能を実装することで、映像を基に不安全行動を検知し、運転しているドライバーや営業所へリアルタイムにアラート/通知する運用を検討しています。
“オールDX人材”を目指して
──最後に、お二人の展望をお聞かせください。
中村:150名という目標値の達成に向けて、DX企画人材の育成に注力します。加えて各事業会社との連携も引き続き強化し、一つでも多くの企画が実現に至るようサポートしたいです。またDX研修を中心とした育成施策から幅を広げ、社内に眠るデジタル人材の可視化や、育成した人材の活用にもフォーカスできるような体制をつくりたいと考えています。
南部:我々が社として掲げている戦略を実行するためには、DXの知識やノウハウを従業員全員が身に着ける必要があると思います。最終的には“オールDX人材”を可能な限り目指したいですね。
