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Biz/Zine Day 2025 October (AD)

セガ エックスディーの新規事業メソッド「ゲームフルデザイン」に学ぶ、人が「使いたくなる」体験の作り方

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 10月3日、Biz/Zine Day 2025 Octoberが開催された。本記事では、株式会社セガ エックスディー 取締役 執行役員COOの伊藤真人氏による講演『「使いたくなる」体験を起点とした新規事業のつくりかた~ゲームが持つ、人を動かし夢中にさせる力を活用する「ゲームフルデザイン」とは~』の模様をお届けする。多くの企業が新規事業開発において直面する課題解決に向けて、ゲーム業界が長年培ってきた「人を夢中にさせる力」を応用する手法「ゲームフルデザイン」について、多くの具体例とともに解説しています。

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機能だけでは勝てない時代、「使いたくなる」体験が競争力の源泉となる

 現代のビジネス環境は情報やコンテンツが飽和し、製品やサービスの機能的価値だけでは差別化が困難になっている。

 機能のコモディティ化が加速する現代を、「機能的価値だけでは競争力の確保に限界がある」と表現する。かつては「使いやすい」ことがサービスの主な評価軸だったが、現在ではそれに加えて「使いたくなる」という価値が重要になっているという。この「使いたくなる」価値は情緒性や共感性、利用頻度を高める粘着性といった、情緒、共感などの心理的な要素の体験から生まれるもので、新たな競争力の源泉となりつつある。

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 機能的価値だけだと選ばれづらくなっているわかりやすい例がDXだ。「営業管理ツールを導入したが、担当者が入力してくれない」という課題が典型例であり、ツールが提供する「使いやすさ」や「利便性」といった合理性だけでは、人は必ずしも動かないことを示している。

 伊藤氏は「正論では人は動かない。性能だけでなく『使いたくなる』ところまで踏み込まないと、サービスは使ってもらえない」と語り、これはゲーム業界が長年経験してきたことだと強調した。

 では、「使いたくなる」体験とは何か。伊藤氏は「体験の効率化」「体験の最大化」という二つの軸で説明する。

 たとえば「移動」において、自動運転バスは目的地へ効率的に到着する「体験の効率化」を実現する。しかし一方で、子どもがバスの降車ボタンを押すことにワクワクするような、効率とは別の次元にある喜びもまた、バスに「乗りたい」と思わせる強力な動機となる。これが「体験の最大化」であり、情緒的価値を通じてユーザーが主体的・能動的に行動したくなるような体験を設計し、その結果として課題が解決される世界を目指すべきだと伊藤氏は述べた。

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戦略だけでは人は動かない。伊藤氏が経験した新規事業の「三つの失敗」

 セガ エックスディーは、2016年に株式会社セガの新規事業部門からスピンオフして設立された、いわゆる「出島」の会社だ。伊藤氏はセッションで、同社が黒字化を達成するまでの道のりで経験した、三つの大きな失敗について赤裸々に語った。

株式会社セガ エックスディー 取締役 執行役員COO 伊藤真人氏
株式会社セガ エックスディー 取締役 執行役員COO 伊藤真人氏

 最初の失敗は、「戦略ありきのプロダクトで顧客拡大に失敗した」ことだ。市場調査や緻密な事業計画に多くの時間を費やした結果、生まれたプロダクトはまったくうまくいかなかったという。「戦略だけで人が動くようなものは作れない」と振り返り、この経験から、合理性のみでは人は動かない。目の前の顧客に真摯に向き合うべきだという学びを得た。この失敗が、後に同社が徹底した人間理解と体験設計を重視する原点となった。

 第二の失敗は、組織運営に関するものだ。設立当初、短期的な黒字化に固執しすぎたあまり、組織全体が疲弊し、「自分は駄目なんだ」という「負け癖」が蔓延してしまった。この経験から伊藤氏は、新規事業を短期的な損益(PL)で評価するのではなく、顧客資産をいかに積み上げるかという長期的視点で捉える重要性を学んだ。「短期的な収益よりも、長期的な顧客資産、つまりファンに執着すべき」というのが、この苦しい時期から得た教訓だった。

 三つ目の失敗は、焦りから生じた「多角化の急ぎすぎ」だ。事業拡大を急ぐあまり、様々な事業に手を出した結果、組織が疲弊。そこで、一人ひとりが一つのミッションに集中できる環境を整える組織改革を断行した。

 伊藤氏はこれらすべての失敗の根源を、「人間の感情や行動原理が、戦略から完全に抜け落ちていたこと」にあると分析し、この深い反省が、現在のセガ エックスディーの根幹をなす哲学を形作ったのである。

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内発的動機づけから行動変容を促す「ゲームフルデザイン」の全体像

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この記事の著者

Biz/Zine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社セガ エックスディー

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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