SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

Biz/Zineニュース

ストックマーク、生成AI時代における製造業従事者の情報活用実態を調査 手戻りによる工数ロスが常態化

  • Facebook
  • X

 ストックマークは、製造業の開発現場における情報活用状況についての実態把握を目的に、製造業で働く445名を対象に「製造業従事者の情報収集行動に関するアンケート」を実施した。

進まないDXと加速する開発要求。開発現場の「スピード」「負荷」は限界に

 ここ2〜3年の業務変化について尋ねたところ、51%が「納期・開発スピードが速くなった」 、63%が「開発の難易度・複雑性などの負荷が増えた」と回答。過半数のエンジニアが、以前にも増して「短納期」かつ「高難易度」な開発を求められている実態が明らかになった。

 この急速な負荷増大の背景には、近年の製造業を取り巻く急激な環境変化があると考えられる。「製品の高度化・複雑化」が進み考慮すべき仕様や検証項目が激増していることに加え、「環境・法規制への対応」が厳格化。さらに「サプライチェーンの変動」で部材変更や再設計が頻発し、AIをはじめとする「技術革新のスピード加速」により情報の陳腐化も早まっている。

 一方で、こうした状況を打開するために各社で進むDXやAI導入の効果では、72%が「業務が楽になった実感がない」と回答。急速に進化する生成AI技術やそれらを活用したデジタルツールの導入が積極化する一方で、複雑に絡み合う情報を「現場が使いこなせる状態」には至っておらず、負荷軽減という成果には結びついていない現状が浮き彫りになった。

急増し続ける情報取得の複雑化と高まる重要性

 直近3カ月で情報の見落としに起因する再設計/再施策などの「手戻り」経験について尋ねたところ、63%が「経験している」と回答。「短納期」かつ「高難易度」が求められることに加え、急増し続ける情報洪水状態の現代で複雑化する「業務に必要な情報を正確な取得」の重要性が極めて高まっている実態が明らかになった。

 「手戻り」を防ぐには、実務に直結する「社内ナレッジ」と、変化/増加し続ける「社外情報」の双方を正確に取得することが必要。しかし、日々の開発業務に追われる中で洪水のように溢れる情報から「必要なものだけ」を短時間で選び/取得することは、もはや人間の処理能力を超えつつあると言える。

情報見落としによって生じた「手戻り」の工数ロスは平均9人日相当の損害に

 直近で発生した「手戻り」によって生じた作業時間/人数について尋ねたところ、半数を超える53%が「2~3日以上」の作業時間を要している。また、56%が手戻り作業に「2~3人以上」のリソースを割いており、平均すると一度の手戻りによる損害として9人日の工数ロスが発生している実態が明らかになった。

 さらに、手戻りの原因となった情報の見落としはどこで発覚したかについて尋ねたところ、自身の見直しによる発覚は33%。約7割が自身の手を離れた第3者による指摘によって発覚していることが明らかになった。

 平均9人日という甚大な工数ロスや、第三者を巻き込んだ情報の見落とし発覚/手戻りが頻発しているこの実態は、情報洪水状態の現代において、複雑に絡み合う情報の中から自身の業務に必要な情報を正確に取得することが極めて困難かつ重要かを示している。

手戻りの最大の原因は「情報過多」と「活用不全」

 どのような情報の見落としにより手戻りが発生したかについて尋ねたところ、「過去の不具合・トラブル履歴」「実験・設計データの記録」「類似製品・部品の設計データ」といったデータが多数。過去の社内ナレッジが活用できていないことに加え、他部門や外部情報との接続が機能していない実態が明らかになった。

 さらに情報を見落としてしまった原因について尋ねたところ、情報自体が存在していないケースは約12%。約75%が情報は存在するが「情報が多すぎて見つけられなかった」「共有/連携されていなかった」など、手戻りの原因となる情報見落としのほとんどが「情報過多」や「活用不全」に起因していることが明らかになった。

 この実態は、日々更新される社内ナレッジと、増加し続ける社外ナレッジを「いかに整理し活用できるか」が、日本の基幹産業である製造業の競争力向上につながる“鍵”であることを示している。

【関連記事】
ストックマークが「Anews」をリブランディング 新生「Aconnect」として提供を開始
KPMGコンサルティング、製造業におけるAI活用の課題やアプローチについてまとめたレポートを発表
キャディ、製造業のAI活用に関する調査を実施 約6割が生産性向上を実感

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
関連リンク
この記事の著者

Biz/Zine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング