営業のキャリアを活かしテレアポから異業種を開拓
梶川:既存事業とは異なる業界をターゲットとした事業立ち上げは大変だったのではないでしょうか。
田畑:そうですね。最初はテレアポからのスタートでした。廃棄物処理事業者をリスト化し、順番に電話をかけていくという、かなり原始的なやり方です。今思えば、ここで躊躇なく突っ込んでいけたのは、アカウント営業としてのキャリアがあったからこそかもしれません。
最初に電話をかけた先が、東北で最も大きいリサイクル事業者だったんです。関心を示してくださり、毎週のように定例会を開いて課題をヒアリングできることになりました。
梶川:スムーズに受け入れてもらえたんですね。
田畑:とはいえ、実際に導入してもらうにはハードルもありました。元々は既存のベルトコンベアにアドオンする想定でしたが、そのお客様の設備は特殊で、コンベアごと交換が必要だったんです。提案に行くときは「今日でこの出張も最後かもしれない」と思っていました。
ところが先方は「その分、省人化できるなら問題ない」と言ってくれた。製品への期待を感じた瞬間でした。

現場の切実な声で「AI×X線」へと事業拡大
梶川:現場のニーズが大きかったんですね。その後の事業展開を教えてください。
田畑:さすがにテレアポは非効率なので、廃棄物処理業界の設備などを扱う商社やプラント会社にヒアリングして事業者を選ぶようになりました。
大きな転機になったのは、選別領域の拡大です。2024年4月にビンを色別に選別する「Raptor VISION BOTTLE」をローンチし、認識精度を99.9%まで高められた段階で、お客様から「そこまでの精度なら、リチウムイオン電池も検知できるのでは」という声が寄せられたんです。深刻な火災リスクに頭を悩ませていたからでしょう。
最初は「それは難しいですよ」と答えていましたが、同じ要望があまりに多く寄せられるので、最終的には挑戦することにしました。
梶川:具体的にはどのように進めたのですか。
田畑:まず、X線透過画像をAIで解析する方法が良さそうだと目星をつけ、パートナーとなるX線検査装置メーカーを探しました。すると、新規事業関連のイベントでたまたまその分野の企業と出会い、社長を紹介していただけることになったんです。話してみると、社長自身も以前ビンやリチウムイオン電池を扱った経験があると分かり、意気投合しました。
こうして協力体制が整い、2025年10月に製品をリリースすることができました。
梶川:顧客の獲得状況はいかがですか。
田畑:正直、最初は苦戦しましたね。「Raptor VISION」はインフラ設備なので高額です。多くの事業者が補助金を活用して導入を検討してくださるのですが、当時は該当するものがなく、私たちも環境省に働きかけを行っていました。
すると2025年度、ようやくリチウムイオン電池の検知システム導入に使用できる補助金が新設されたんです。これから導入実績を増やしていけるのではないかと期待しています。
