専門スキルと「得がたい成功体験」が事業を創るリーダーを生み出す
新規事業における専門スキル/知識
これは、あらゆる新規事業開発において共通して必要になるスキルに加えて、取り組む業界や領域、事業内容やビジネスモデルによって個別で必要になる専門性の高い知識やスキルが身についているかという要件です。
たとえば、新規事業を始める業界についての専門知識や深い知見があるか、関連する技術や知的財産、法律や商習慣への理解はあるか、IT・デジタルテクノロジーに関するリテラシーや開発力・技術力を持っているか、などが該当します。
成果創出とそこから得られる示唆や自信
最後に、新規事業開発を通じて何らかの成果創出や事業を成功させたという経験があるかどうかです。成功体験から示唆や自信を得たことにより、強いリーダーシップを発揮できるかどうかを指す要件です。新規事業開発の経験がある人材も希少ですが、成功確率が低いその経験を通じて実際に成果を生み出し、成功を実現したことがある人材となると、さらに希少な存在といえます。
新規事業は成果が出なければ撤退を余儀なくされるリスクと常に隣合わせです。一定の基準となる成果やKPIをクリアしなければ、次の段階に進めないことが当たり前です。つまり、新規事業開発に成功し、事業を成長させて安定軌道に乗せるという一連の流れを完遂することでしか得られない経験や学べない示唆が多分にあるということです。
その成功体験によって作られた自信から生まれる強いリーダーシップは、不確実性の高い新規事業開発においてチームをまとめ、困難を乗り越えていく原動力にもなります。
過去の成功体験に縛られて、自信ではなく過信や油断、傲慢を生み出しては本末転倒ですが、新規事業における成功体験は事業開発を牽引するリーダーにとっては得がたい要件なのです。
汎用モデルを自社に落とし込み、独自の人材要件を定義する
志向性と資質に関しては、イノベーター人材の要件の中では、後天的に獲得できる可能性が低いもののため、発掘の段階での見極めが重要になりますが、これらを備えた人材がイノベーター候補人材になります。
一方で、志向性と資質以外の新規事業開発の経験や新規事業開発における共通スキルや専門スキルなどは後天的に獲得できる可能性が高いもののため、実践経験を通じての育成が必要です。新規事業開発における成果創出の経験や成功体験があればなおよいですが、成功確率や挑戦する機会の母数を考慮すると必須ではなく、スキルまでを兼ね備えた人材がイノベーター人材と定義しています。
この汎用的なモデルをベースに、自社ならではの人材要件や条件を加えたり、詳細に具体化したりすることで、独自の人材モデルを構築していくこともできます。
次回は、明確にしたイノベーター人材の要件をもとに、どのように人材を見極めて発掘し、適切に配置していくべきかの考え方について詳細を解説していきます。
