日本電気(以下、NEC)は、2025年4月以降のESG(環境・社会・ガバナンス)に関する考え方、戦略、取り組みをまとめた「ESGデータブック2026」を本日公開した。
1:「2030中期経営計画」と新たなマテリアリティ
NECが2026年5月に発表した「2030中期経営計画」では、自らの社会的役割を再定義した社会価値創造Vision「Empower Humanity ~世界に革新と安心を届ける」を新たに掲げた。このVision実現に向け、環境・社会へのインパクトと財務に与える影響の双方から優先的に取り組むべき経営課題(マテリアリティ)を再特定し、実践を通じた企業価値の最大化に努めている。
本データブックは、このマテリアリティを軸に、投資家をはじめとするステークホルダーに向けて詳細なサステナビリティ活動の成果をESG視点に分類して報告するものである。
2:生成AI・Agentic AIを活用した環境・開示業務の高度化(クライアントゼロ)
今回のデータブックにおいて注目されるのが、NEC自身が最初の顧客となって最先端テクノロジーを使いこなす「クライアントゼロ」の取り組みである。自然資本や情報開示といった複雑な領域において、生成AIや自律的に動作するAgentic AIを駆使した自社変革を推進している。
自然資本(TNFD)へのAI活用
世界中の公開情報や拠点情報を自律的に分析するAIの活用により、国内外のサプライチェーン約2,000拠点の水リスクや生物多様性リスクの評価を自動化。手作業で実施した場合に比べ、8万時間相当の工数(92%削減)を自動化することに成功した。
SSBJ対応業務へのAI活用
2027年3月期から適用されるSSBJ(サステナビリティ基準委員会)基準に準拠した有価証券報告書の作成を見据え、気候基準(S2)を対象とする情報収集・分析からドラフト作成までを行うAIを自社試行。従来のプロセスに比べて工数ベースで93%削減を達成した。
ESG評価回答業務へのAI活用(CDP対応)
高度な専門性を要するCDPへの回答作成プロセスに生成AIを導入。効率的かつ一定品質の回答作成を仕組み化し、回答工数を約30%削減した。
3:ESG領域における主要な実績と中長期KPI
「ESGデータブック2026」では、新たに策定した環境目標「NECエコ・アクションプラン2030」のもと、各テーマの2030年度KPIを明示するとともに、これまでの「2025中期経営計画」期間における実績を公開している。
環境(Environment)
- 温室効果ガス削減目標の更新:SBTiのNet-Zero認定に基づき目標を更新。2034年度までにScope 1、2およびScope 3を2024年度比でそれぞれ63.6%以上削減すること、また2040年までに実質ゼロにすることを目指す。
- 再生可能エネルギー:電気使用量に占める再エネ導入比率を2030年度に58%、2040年度までに100%に引き上げる。2025年度の再エネ導入実績は40%を達成した。
- サーキュラーエコノミー:2025年3月に「サーキュラーエコノミー指針」を策定。製品における再生プラスチック活用の全社的推進や、素材開発におけるマテリアズ・インフォマティクス(MI)の活用などを進めている。
社会(Social)
- インクルージョン&ダイバーシティ(I&D):2030年度までに女性管理職比率20%(当社および主要な国内連結子会社5社)の達成を目指す(2025年度末実績:当社12.1%)。
- AIと人権:「NECグループAIと人権に関するポリシー」を運用。AIエージェント時代を見据えた人間中心設計について、外部有識者による「デジタルトラスト諮問会議」を交えた対話・検討を継続している。
- 苦情処理メカニズムの強化:2024年10月に一本化したグローバル共通の通報システム「NEC Compliance & Integrity Hotline」を、2025年度中にすべての国内外連結子会社およびそのお取引先へと対象拡大した。
ガバナンス(Governance)
- 役員報酬への反映:従業員エンゲージメントスコアを役員賞与の算定指標に組み込んでいるほか、気候変動対策の進捗状況を執行役員の年次業績評価に最大10%の割合で反映する仕組みを導入している。
4. 継続的な社外評価
サステナビリティ経営への積極的な姿勢が評価され、NECは世界的なESG評価機関から高い評価を受け続けている。
- Dow Jones Best-in-Class Indices:WorldおよびAsia Pacific Indexの構成銘柄に選定。
- CDP Aリスト:「気候変動」および「水セキュリティ」の2部門において、最高評価の「Aリスト」企業に7年連続で選定。
- MSCI ESG レーティング:最上位評価である「AAA」を獲得。
- LCA日本フォーラム会長賞:サプライチェーン全体の水ストレス評価手法の構築が評価され、第22回LCA日本フォーラム表彰において受賞。
NECは今後も、Purpose(存在意義)である「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現」に向け、サステナビリティに関わる取り組みをグループ全体で推進し、積極的な情報開示に努めていく方針だ。
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